確率分布の一つである負の二項分布の基礎知識について解説します。
1. 負の二項分布とは
負の二項分布とは、次のような状況を考える確率分布です。
確率 p で起こる事象がr 回起こるまでに、その事象が起こらなかった回数 X の確率分布
例えば、「サイコロを振って、1の目が3回出るまでに、それ以外の目が何回出るか?」といった例が挙げられます。
失敗する確率を q=1−p とすると、失敗の回数が k 回となる確率 P(X=k) は次のように表されます。
P(X=k)=(kk+r−1)prqk(k=0,1,2,…)
※(kn) は nCk と同じ意味である。 すなわち、 (kk+r−1)=k+r−1Ck である。
コンビネーションの中身が k+r−1 となってますね。普通の二項分布なら n 回中 k 回成功する確率だからシンプルだったんですが…。
この式が表している状況を具体的に思い浮かべてみましょう。
確率 P(X=k) は、k 回失敗してr 回成功する確率です。
ただし、一番最後の試行は、必ずr回目の成功で終わらなければなりません。
つまり、全体の試行回数は (k+r) 回になりますが、最後の1回は必ず成功し、
それ以前の (k+r−1) 回では(r−1) 回の成功とk 回の失敗が任意の順番で起こる
という状況になります。
それ以前の (k+r−1) 回での並び替えの総数は (kk+r−1) 通りです。
そこに、全部で成功が r 回、失敗が k 回起こる確率 prqk を掛けているというわけです。
例題1:サイコロの出目
サイコロを繰り返し振り、1の目が合計3回出るまでに、1以外の目がちょうど5回出る確率を求めよ。
【解答と解説】
この問題は、成功確率 p=61、失敗確率 q=65、目標成功回数 r=3 の負の二項分布において、失敗回数 X=5 となる確率を求める問題です。
公式に当てはめて、以下のようになります。
P(X=5)=(55+3−1)(61)3(65)5=(57)(61)3(65)5=2×17×6×631×6555=21×16796163125=167961665625(≈0.039)
【答え】
167961665625
最後に3回目の1が出るという状況を固定し、最初の7回の中で1が2回、それ以外が5回出るパターンを計算しているんですね。
式の意味が分かれば、丸暗記しなくてもその場で式を組み立てることができますね。
2. 幾何分布
負の二項分布の特別なケースとして、幾何分布があります。
幾何分布は、「初めて成功するまでに、何回失敗するか」を表す分布です。
初めて成功するまでということは、目標成功回数rが r=1 の時ということですか?
そうです。負の二項分布の式に $r = 1$ を代入してみましょう。
P(X=k)=(kk+1−1)p1qk=(kk)pqk=pqk(k=0,1,2,…)
これは、幾何分布の確率関数そのものです。(k回連続で失敗 qk して、次に成功 p する確率)
つまり、幾何分布は負の二項分布の特別な場合(r=1)であると言えます。
例題2:ガチャ(幾何分布)
当たる確率が5%のガチャが初めて当たるまでに、ハズレをちょうど19回引く確率を求めよ。
【解答と解説】
これは r=1 の負の二項分布、すなわち幾何分布の問題です。
成功確率 p=0.05、失敗確率 q=0.95 で、失敗回数 X=19 となる確率を求めます。
P(X=19)=1005×(10095)19=201×(2019)19=20201919(≈0.0377)
【答え】
20201919
まとめ
- 負の二項分布とは、r 回成功するまでに何回失敗するかの確率分布である。
- 式 P(X=k)=(kk+r−1)prqk は、最後の1回は必ず成功で終わるという条件から導かれる。
- 目標成功回数を r=1 とすると、初めて成功するまでの失敗回数を表す幾何分布になる。