マイナス×マイナスはなぜプラスになるのか?

コラム

数学を勉強していると、

(2)×(3)=6(-2)\times(-3)=6

と習います。

でも、多くの人がここで一度つまずきます。

  • プラスとマイナスでマイナスになるのは分かる
  • マイナスとマイナスで、なぜ急にプラスになるのか分からない

という感覚です。

たしかに、

「そういうルールだから」と言われても、あまり納得できない

ところがあります。

この記事では、 マイナス×マイナスがプラスになるのは単なる暗記ではなく、 これまでの計算ルールを壊さないために必要な結果 だという流れで考えていきます。

1. なぜ不思議に感じるのか

たとえば正の数どうしの掛け算では、

3×2=63\times 2=6

です。

また、

(3)×2=6(-3)\times 2=-6

3×(2)=63\times(-2)=-6

も、 そこまで変な感じはしません。

でも

(3)×(2)(-3)\times(-2)

になると、 急に「なぜプラスになるの?」と思います。

ここで大事なのは、

負の数が出てきても、今までの計算ルールはそのまま守りたい

ということです。

たとえば

  • 足し算のルール
  • 引き算のルール
  • 分配法則

が、負の数に入った瞬間に壊れてしまうと困ります。

だから数学では、

正の数で成り立っていたルールを、負の数までそのまま広げる

という考え方をします。

すると、 マイナス×マイナスの答えも自由には決められません。

2. カギになるのは分配法則

ここで使うのが 分配法則 です。

a(b+c)=ab+aca(b+c)=ab+ac

というルールです。

これは小学校や中学校で出てくる、 とても基本的なルールです。

たとえば

3×(4+1)=3×4+3×13\times(4+1)=3\times 4+3\times 1

なので

3×5=12+33\times 5 = 12+3

となり、

たしかに両方とも 1515 になります。

このルールは、 負の数が出てきても同じように成り立ってほしいはずです。

3. まず負×正を決める

いきなり

(2)×(3)(-2)\times(-3)

を見る前に、 まず

(2)×3(-2)\times 3

を考えます。

ここで

2+(2)=02+(-2)=0

なので、

(2+(2))×3=0×3=0(2+(-2))\times 3 = 0\times 3 = 0

です。

これに分配法則を使うと、

(2+(2))×3=2×3+(2)×3(2+(-2))\times 3 = 2\times 3 + (-2)\times 3

だから

0=6+(2)×30=6+(-2)\times 3

です。

この式を満たすには、

(2)×3=6(-2)\times 3=-6

でなければなりません。

つまり、

今までのルールを守るなら、マイナス×プラスはマイナスになる

と決まります。

4. 次に負×負を決める

次に本題の

(2)×(3)(-2)\times(-3)

を考えます。

ここでも同じように

3+(3)=03+(-3)=0

を使います。

すると

(2)×(3+(3))=(2)×0=0(-2)\times(3+(-3)) = (-2)\times 0 = 0

です。

一方、分配法則を使うと

(2)×(3+(3))=(2)×3+(2)×(3)(-2)\times(3+(-3)) =(-2)\times 3 + (-2)\times(-3)

です。

さきほど

(2)×3=6(-2)\times 3=-6

と分かっているので、

0=6+(2)×(3)0=-6+(-2)\times(-3)

となります。

これを満たすには

(2)×(3)=6(-2)\times(-3)=6

でなければなりません。

つまり、

分配法則を壊さないためには、マイナス×マイナスはプラスになるしかない

のです。

5. 負×負を負にするとどうなるか

では逆に、

(2)×(3)=6(-2)\times(-3)=-6

だったとすると何が起きるでしょうか。

さきほどの分配法則の式

(2)×(3+(3))=(2)×3+(2)×(3)(-2)\times(3+(-3)) =(-2)\times 3 + (-2)\times(-3)

に代入すると、

0=6+(6)0 = -6 + (-6)

となってしまいます。

つまり

0=120=-12

というおかしな式が出てきます。

これは明らかに矛盾です。

したがって、

負×負を負にすると、これまでの計算ルールが壊れてしまう

のです。

6. ただの暗記ルールなのか?

ここまで見ると、 「結局ルールを選んだだけでは?」と思うかもしれません。

ある意味では、 最初に負の数を導入した時点で ルールをどう広げるかを決めている、という面はあります。

ただし重要なのは、

何でも好きに決められるわけではない

ということです。

今まで使ってきた

  • 分配法則
  • 足し算と掛け算の関係
  • 数の規則性

を保とうとすると、

(a)×(b)=ab(-a)\times(-b)=ab

とする以外に、ほとんど余地がありません。

つまり、

「勝手に決めた」というより、「自然にそう決まってしまう」

というほうが近いです。

まとめ

マイナス×マイナスがプラスになるのは、 ただの変な暗記ルールではありません。

ポイントをまとめると、

  • 正の数で使っていた分配法則は、負の数でも守りたい
  • そのルールを使うと、まずマイナス×プラスはマイナスと決まる
  • さらに同じルールを使うと、マイナス×マイナスはプラスと決まる

という流れから、

(a)×(b)=ab(-a)\times(-b)=ab

が出てきます。

つまり、

マイナス×マイナスは、プラスになるようにしたというより、プラスでないと計算のルールがこわれる

のです。

こういう話を見ると、 数学のルールはバラバラに暗記するものではなく、 全体がきれいにつながるようにできているのだと分かります。

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