【完全保存版】大学受験「漸化式」全15パターン解法辞典(応用・発展編)

解法

高校数学の数列において、多くの受験生が苦手意識を持つ「漸化式」。 前回の「基礎編」では、全15パターンのうち「引き算」や「掛け算」を駆使して基本形に持ち込む7つの型を攻略しました。

引き算で邪魔な定数や $n$ の式を消す感覚は掴めました!でも、右辺が分数だったり、掛け算ばかりの式はどうすればいいですか……? そこからが漸化式の本当の面白さです!引き算で太刀打ちできない相手には、「両辺を割る」「対数や逆数をとる」というさらに強力な武器を使って、私たちが知っている『基本形』へと強制的にすり替えていきます。

本記事では、難関大入試で頻出となる**【グループE・F・G】の残り8パターン**について、一切の行間を省略しない解説をお届けします。

まずは前回のおさらいも兼ねて、全15パターンの全体地図となる早見表から確認していきましょう。

漸化式 全15パターン早見表(★が本記事の解説範囲)

グループNo.パターン名式の形解法の最初の一手
A: 基本1等差型an+1=an+da_{n+1} = a_n + d公式 an=a1+(n1)da_n = a_1 + (n-1)d
2等比型an+1=rana_{n+1} = r a_n公式 an=a1rn1a_n = a_1 r^{n-1}
3階差型an+1=an+f(n)a_{n+1} = a_n + f(n)公式 an=a1+f(k)a_n = a_1 + \sum f(k)
B: 階比4階比型an+1=f(n)ana_{n+1} = f(n) a_n縦に並べて掛け合わせ、ナナメに約分
C: 特性5特性方程式型an+1=pan+qa_{n+1} = p a_n + qα=pα+q\alpha = p\alpha + q を解いて引く
D: ズラす6多項式型(1次)an+1=pan+qn+ra_{n+1} = p a_n + qn + rnn+1n \to n+1 にズラした式と引く
7SnS_n 混在型Sn=pan+qS_n = p a_n + qnn+1n \to n+1 にズラした式と引く
E: 割る★8指数型an+1=pan+qna_{n+1} = p a_n + q^n両辺を qn+1q^{n+1} で割る
★9分数係数型an+1=f(n+1)f(n)ana_{n+1} = \frac{f(n+1)}{f(n)} a_n両辺を f(n+1)f(n+1) で割る
★10クロス係数型f(n)an+1=f(n+1)an+qf(n) a_{n+1} = f(n+1) a_n + q両辺を f(n)f(n+1)f(n)f(n+1) で割る
F: 置換★11累乗・対数型an+1=panqa_{n+1} = p a_n^q両辺の log\log をとる
★12基本分数型an+1=ranpan+qa_{n+1} = \frac{r a_n}{p a_n + q}両辺の「逆数」をとる
★131次分数型an+1=ran+span+qa_{n+1} = \frac{r a_n + s}{p a_n + q}特性方程式を解いてから逆数をとる
G: 連立★14隣接3項間型an+2+pan+1+qan=0a_{n+2} + p a_{n+1} + q a_n = 0x2+px+q=0x^2 + px + q = 0 を解く
★15連立漸化式an+1=pan+qbna_{n+1} = p a_n + q b_n足し引き or 代入して隣接3項間へ

【グループE】「両辺を割って塊を作る」3型

右辺に指数や掛け算の塊がある場合、そのまま引き算をしても消すことができません。このグループの鉄則は、両辺を特定の式で割り算し、同じ形をした「塊(かたまり)」を無理やり作り出すことです。

8. 指数型: an+1=pan+qna_{n+1} = p a_n + q^n

■ 見分け方のポイント

特性方程式型の末尾の定数だった部分が、qnq^n のような指数の形になっているパターンです。 an+1=3an+2na_{n+1} = 3 a_n \boldsymbol{+ 2^n} のように、おしりに nn 乗がくっついていたらこの型です。

■ 解法

邪魔な qnq^n は、両辺を割り算することで処理します。

  1. 両辺を qn+1q^{n+1} で割る:邪魔な指数と同じ底を持つ qn+1q^{n+1} で両辺を割ります。(qnq^n で割る解法もありますが、qn+1q^{n+1} の方がミスが減るため推奨です)
  2. anqn\frac{a_n}{q^n} を塊と見る:約分をして形を整え、bn=anqnb_n = \frac{a_n}{q^n} と置き換えます。
  3. 特性方程式型として解く:置き換えた式は必ず特性方程式型(グループC)になるので、解いてから元の ana_n に戻します。

■ 【例題】

a1=1,an+1=3an+2na_1 = 1, \quad a_{n+1} = 3 a_n + 2^n

■ 【解法ステップ】

STEP 1:両辺を 2n+12^{n+1} で割る 右辺の 2n2^n を処理するため、両辺を 2n+12^{n+1} で割ります。

an+12n+1=3an2n+1+2n2n+1\frac{a_{n+1}}{2^{n+1}} = \frac{3 a_n}{2^{n+1}} + \frac{2^n}{2^{n+1}}

STEP 2:形を整え、塊を置き換える 右辺の第1項の分母を 2×2n2 \times 2^n と分解し、第2項の分数を約分します。

an+12n+1=32an2n+12\frac{a_{n+1}}{2^{n+1}} = \frac{3}{2} \cdot \frac{a_n}{2^n} + \frac{1}{2}

ここで、bn=an2nb_n = \frac{a_n}{2^n} と置くと、式は次のように綺麗な特性方程式型に変わります。

bn+1=32bn+12b_{n+1} = \frac{3}{2} b_n + \frac{1}{2}

STEP 3:特性方程式型として解く 特性方程式 α=32α+12\alpha = \frac{3}{2} \alpha + \frac{1}{2} を解くと、12α=12-\frac{1}{2}\alpha = \frac{1}{2} より α=1\alpha = -1 となります。これを引きます。

bn+1(1)=32(bn(1))    bn+1+1=32(bn+1)b_{n+1} - (-1) = \frac{3}{2} (b_n - (-1)) \implies b_{n+1} + 1 = \frac{3}{2} (b_n + 1)

数列 {bn+1}\{b_n + 1\} は公比 32\frac{3}{2} の等比数列です。 初項 b1b_1b1=a121=12b_1 = \frac{a_1}{2^1} = \frac{1}{2}。よって等比数列の初項は b1+1=12+1=32b_1 + 1 = \frac{1}{2} + 1 = \frac{3}{2} です。

bn+1=32(32)n1=(32)n    bn=(32)n1b_n + 1 = \frac{3}{2} \cdot \left(\frac{3}{2}\right)^{n-1} = \left(\frac{3}{2}\right)^n \implies b_n = \left(\frac{3}{2}\right)^n - 1

最後に bn=an2nb_n = \frac{a_n}{2^n} だったので、両辺に 2n2^n を掛けて元に戻します。

an2n=(32)n1    an=2n{(32)n1}=2n3n2n2n=3n2n\frac{a_n}{2^n} = \left(\frac{3}{2}\right)^n - 1 \implies a_n = 2^n \left\{ \left(\frac{3}{2}\right)^n - 1 \right\} = 2^n \cdot \frac{3^n}{2^n} - 2^n = 3^n - 2^n

💡 なぜこれで解けるのか ana_n2n2^n が混ざっていると計算できませんが、「両辺を割る」ことで an2n\frac{a_n}{2^n} という「変数だけの塊」と、「32\frac{3}{2}」や「12\frac{1}{2}」といった「ただの定数」に分離することができます。これが割り算の最大の魔法です。

⚠️ 注意ポイント 最後に 2n2^n を掛け直す際、分配法則を忘れて an=3n1a_n = 3^n - 1 としてしまうミスが多発します。右辺全体に 2n2^n を掛けることを忘れないようにカッコをつけましょう。

【答え】 an=3n2na_n = 3^n - 2^n

9. 分数係数型: an+1=f(n+1)f(n)ana_{n+1} = \frac{f(n+1)}{f(n)} a_n

■ 見分け方のポイント

ana_n の前に、分母が nn の式、分子が n+1n+1 の式 になっている分数が係数としてついている形です。

■ 解法

階比型(グループB)として縦に並べて掛けても解けますが、「割って塊を作る」視点を持つと一瞬で解けます。

  1. 両辺を分子 f(n+1)f(n+1) で割る:分子にある式で両辺を割ります。
  2. 定数数列として解くanf(n)\frac{a_n}{f(n)} という塊ができるので、それを解きます。

■ 【例題】

a1=1,an+1=n+2n+1ana_1 = 1, \quad a_{n+1} = \frac{n+2}{n+1} a_n

■ 【解法ステップ】

STEP 1:両辺を分子で割る 右辺の分子にある n+2n+2 を消すため、両辺を n+2n+2 で割ります。

an+1n+2=ann+1\frac{a_{n+1}}{n+2} = \frac{a_n}{n+1}

STEP 2:定数数列として解く ここで bn=ann+1b_n = \frac{a_n}{n+1} と置くと、式は次のようになります。

bn+1=bnb_{n+1} = b_n

「次の項になっても値が全く変わらない」という意味なので、この数列はすべての項が初項 b1b_1 と同じ値になる定数数列です。 初項 b1b_1 を求めます。

b1=a11+1=12b_1 = \frac{a_1}{1+1} = \frac{1}{2}

すべての nn において bn=12b_n = \frac{1}{2} なので、元に戻します。

ann+1=12    an=n+12\frac{a_n}{n+1} = \frac{1}{2} \implies a_n = \frac{n+1}{2}

【答え】 an=n+12a_n = \frac{n+1}{2}

10. クロス係数型: f(n)an+1=f(n+1)an+qf(n) a_{n+1} = f(n+1) a_n + q

■ 見分け方のポイント

左辺の an+1a_{n+1} には nn の式が、右辺の ana_n には n+1n+1 の式がクロスして掛け算されている形です。

■ 解法

これも「割り算」で美しい塊を作ります。

  1. 両辺を f(n)f(n+1)f(n)f(n+1) で割る:両辺の係数の積で一気に割ります。
  2. 階差型として解くanf(n)\frac{a_n}{f(n)} の塊ができ、基本の階差型(グループA-3)に帰着します。

■ 【例題】

a1=1,nan+1=(n+1)an+1a_1 = 1, \quad n a_{n+1} = (n+1) a_n + 1

■ 【解法ステップ】

STEP 1:両辺を割る 左辺の nn と右辺の n+1n+1 を整理するため、両辺を n(n+1)n(n+1) で一気に割り算します。

nan+1n(n+1)=(n+1)ann(n+1)+1n(n+1)\frac{n a_{n+1}}{n(n+1)} = \frac{(n+1) a_n}{n(n+1)} + \frac{1}{n(n+1)}

それぞれの分数を約分します。

an+1n+1=ann+1n(n+1)\frac{a_{n+1}}{n+1} = \frac{a_n}{n} + \frac{1}{n(n+1)}

STEP 2:階差型として解く bn=annb_n = \frac{a_n}{n} と置くと、式は次のように階差型になります。

bn+1=bn+1n(n+1)b_{n+1} = b_n + \frac{1}{n(n+1)}

階差数列の公式を使います。初項 b1=a11=1b_1 = \frac{a_1}{1} = 1n2n \ge 2 のとき、部分分数分解を利用します。

bn=b1+k=1n11k(k+1)=1+k=1n1(1k1k+1)=1+{(1112)+(1213)++(1n11n)}=1+(11n)=21n=2n1n\begin{aligned} b_n &= b_1 + \sum_{k=1}^{n-1} \frac{1}{k(k+1)} \\ &= 1 + \sum_{k=1}^{n-1} \left( \frac{1}{k} - \frac{1}{k+1} \right) \\ &= 1 + \left\{ \left( \frac{1}{1} - \frac{1}{2} \right) + \left( \frac{1}{2} - \frac{1}{3} \right) + \dots + \left( \frac{1}{n-1} - \frac{1}{n} \right) \right\} \\ &= 1 + \left( 1 - \frac{1}{n} \right) \\ &= 2 - \frac{1}{n} = \frac{2n - 1}{n} \end{aligned}

n=1n=1 を代入すると 211=1\frac{2-1}{1} = 1 で一致。 bn=annb_n = \frac{a_n}{n} なので、両辺に nn を掛けます。

ann=2n1n    an=2n1\frac{a_n}{n} = \frac{2n - 1}{n} \implies a_n = 2n - 1

【答え】 an=2n1a_n = 2n - 1

【グループF】対数や逆数をとる「置き換え」3型

そのままではどう足掻いても計算が進まないため、「対数(log\log)」や「逆数」というフィルターを通して、全く別の見慣れた数列にすり替える応用パターンです。

11. 累乗・対数(積)型: an+1=panqa_{n+1} = p a_n^q

■ 見分け方のポイント

右辺が累乗になっている、あるいは掛け算だけで構成されている形です。 an+1=2an3a_{n+1} = \boldsymbol{2 a_n^3} のように、足し算や引き算が一切存在しないのが特徴です。

■ 解法

対数(log\log)の性質「掛け算は足し算に」「累乗は前に出せる」を利用します。

  1. 両辺の対数をとる:底は問題の係数や初項に合わせて適切に選びます。
  2. 特性方程式型として解くlogan\log a_n を塊と見ると、お馴染みの特性方程式型(グループC)になるので解き切ります。

■ 【例題】

a1=2,an+1=2an3(an>0)a_1 = 2, \quad a_{n+1} = 2 a_n^3 \quad (a_n > 0)

■ 【解法ステップ】

STEP 1:両辺の対数をとる 初項も係数も 22 なので、底が 22 の対数を両辺にとります。

log2an+1=log2(2an3)\log_2 a_{n+1} = \log_2 (2 a_n^3)

右辺を対数の性質で分解します。

log2an+1=log22+log2an3\log_2 a_{n+1} = \log_2 2 + \log_2 a_n^3 log2an+1=1+3log2an\log_2 a_{n+1} = 1 + 3 \log_2 a_n

STEP 2:特性方程式型として解く 順番を入れ替え、bn=log2anb_n = \log_2 a_n と置くと、

bn+1=3bn+1b_{n+1} = 3 b_n + 1

特性方程式 α=3α+1    α=12\alpha = 3\alpha + 1 \implies \alpha = -\frac{1}{2} を解いて変形します。

bn+1+12=3(bn+12)b_{n+1} + \frac{1}{2} = 3 \left( b_n + \frac{1}{2} \right)

初項 b1=log2a1=log22=1b_1 = \log_2 a_1 = \log_2 2 = 1。よって数列 {bn+12}\{b_n + \frac{1}{2}\} の初項は 1+12=321 + \frac{1}{2} = \frac{3}{2}

bn+12=323n1=3n2b_n + \frac{1}{2} = \frac{3}{2} \cdot 3^{n-1} = \frac{3^n}{2} bn=3n12b_n = \frac{3^n - 1}{2}

最後に bn=log2anb_n = \log_2 a_n なので、対数の定義(logpM=k    M=pk\log_p M = k \iff M = p^k)から戻します。

log2an=3n12    an=23n12\log_2 a_n = \frac{3^n - 1}{2} \implies a_n = 2^{\frac{3^n - 1}{2}}

【答え】 an=23n12a_n = 2^{\frac{3^n - 1}{2}}

12. 基本分数型: an+1=ranpan+qa_{n+1} = \frac{r a_n}{p a_n + q}

■ 見分け方のポイント

右辺が分数になっており、 分子が ana_n の単項式(定数が足されていない) になっている形です。

■ 解法

分数は、分母に足し算があると分割できませんが、分子に足し算があれば分割できます。そこで「逆数」をとります。

  1. 両辺の逆数をとる:分母と分子をひっくり返します。
  2. 分数を分割する:右辺の分数をハート型に割り算して分割します。
  3. 特性方程式型として解く1an\frac{1}{a_n} を塊として解きます。

■ 【例題】

a1=1,an+1=an2an+3a_1 = 1, \quad a_{n+1} = \frac{a_n}{2 a_n + 3}

■ 【解法ステップ】

STEP 1:両辺の逆数をとる

1an+1=2an+3an\frac{1}{a_{n+1}} = \frac{2 a_n + 3}{a_n}

STEP 2:分数を分割する 右辺をバラバラに分解します。

1an+1=2anan+3an    1an+1=2+31an\frac{1}{a_{n+1}} = \frac{2 a_n}{a_n} + \frac{3}{a_n} \implies \frac{1}{a_{n+1}} = 2 + 3 \cdot \frac{1}{a_n}

STEP 3:特性方程式型として解く bn=1anb_n = \frac{1}{a_n} と置くと、

bn+1=3bn+2b_{n+1} = 3 b_n + 2

特性方程式 α=3α+2    α=1\alpha = 3\alpha + 2 \implies \alpha = -1

bn+1+1=3(bn+1)b_{n+1} + 1 = 3(b_n + 1)

初項 b1=1a1=1b_1 = \frac{1}{a_1} = 1 なので、b1+1=2b_1 + 1 = 2

bn+1=23n1    bn=23n11b_n + 1 = 2 \cdot 3^{n-1} \implies b_n = 2 \cdot 3^{n-1} - 1

最後に逆数をとって ana_n に戻します。

1an=23n11    an=123n11\frac{1}{a_n} = 2 \cdot 3^{n-1} - 1 \implies a_n = \frac{1}{2 \cdot 3^{n-1} - 1}

【答え】 an=123n11a_n = \frac{1}{2 \cdot 3^{n-1} - 1}

13. 1次分数型(最難関): an+1=ran+span+qa_{n+1} = \frac{r a_n + s}{p a_n + q}

■ 見分け方のポイント

分数型ですが、分子にも定数項 ss が足されている形です。そのまま逆数をとっても分母に足し算が残って詰む、最難関パターンです。

■ 解法

分子の定数を消して、基本分数型(パターン12)に帰着させるという2段階の置き換えを行います。

  1. 特性方程式を解くα=rα+spα+q\alpha = \frac{r \alpha + s}{p \alpha + q} を解き、α\alpha を求めます。
  2. 両辺から α\alpha を引くan+1αa_{n+1} - \alpha を計算し、分子の定数を消滅させます。
  3. 逆数をとる:基本分数型になったので、逆数をとって解きます。

■ 【例題】

a1=3,an+1=4an2an+1a_1 = 3, \quad a_{n+1} = \frac{4 a_n - 2}{a_n + 1}

■ 【解法ステップ】

STEP 1:特性方程式を解く

α=4α2α+1    α(α+1)=4α2    α23α+2=0\alpha = \frac{4\alpha - 2}{\alpha + 1} \implies \alpha(\alpha + 1) = 4\alpha - 2 \implies \alpha^2 - 3\alpha + 2 = 0

(α1)(α2)=0(\alpha - 1)(\alpha - 2) = 0 より、α=1,2\alpha = 1, 2。今回は α=1\alpha = 1 を使います。

STEP 2:両辺から α\alpha を引く 元の漸化式の両辺から 11 を引き算します。

an+11=4an2an+11=4an2(an+1)an+1=3an3an+1=3(an1)an+1\begin{aligned} a_{n+1} - 1 &= \frac{4 a_n - 2}{a_n + 1} - 1 \\ &= \frac{4 a_n - 2 - (a_n + 1)}{a_n + 1} \\ &= \frac{3 a_n - 3}{a_n + 1} \\ &= \frac{3(a_n - 1)}{a_n + 1} \end{aligned}

これで分子の定数が消え、(an1)(a_n - 1) という塊ができました。

STEP 3:逆数をとる 両辺の逆数をとります。

1an+11=an+13(an1)\frac{1}{a_{n+1} - 1} = \frac{a_n + 1}{3(a_n - 1)}

右辺の分子を、分母の (an1)(a_n - 1) に無理やり合わせます。

1an+11=(an1)+23(an1)=13+231an1\frac{1}{a_{n+1} - 1} = \frac{(a_n - 1) + 2}{3(a_n - 1)} = \frac{1}{3} + \frac{2}{3} \cdot \frac{1}{a_n - 1}

bn=1an1b_n = \frac{1}{a_n - 1} と置くと、bn+1=23bn+13b_{n+1} = \frac{2}{3} b_n + \frac{1}{3}。 特性方程式 β=23β+13    β=1\beta = \frac{2}{3}\beta + \frac{1}{3} \implies \beta = 1

bn+11=23(bn1)b_{n+1} - 1 = \frac{2}{3} (b_n - 1)

初項 b1=1a11=131=12b_1 = \frac{1}{a_1 - 1} = \frac{1}{3 - 1} = \frac{1}{2}。よって b11=12b_1 - 1 = -\frac{1}{2}

bn1=12(23)n1    bn=112(23)n1b_n - 1 = -\frac{1}{2} \left(\frac{2}{3}\right)^{n-1} \implies b_n = 1 - \frac{1}{2} \left(\frac{2}{3}\right)^{n-1}

元に戻します。

1an1=112(23)n1    an1=1112(23)n1\frac{1}{a_n - 1} = 1 - \frac{1}{2} \left(\frac{2}{3}\right)^{n-1} \implies a_n - 1 = \frac{1}{1 - \frac{1}{2} \left(\frac{2}{3}\right)^{n-1}}

最後に 11 を右辺に移行して終了です。

【答え】 an=1+1112(23)n1a_n = 1 + \frac{1}{1 - \frac{1}{2} \left(\frac{2}{3}\right)^{n-1}}

【グループG】複数の数列が絡む「連立・3項間」2型

いよいよ最後のグループです。ana_n だけでなく an+2a_{n+2}bnb_n など複数の項が入り乱れるパターンです。

14. 隣接3項間型: an+2+pan+1+qan=0a_{n+2} + p a_{n+1} + q a_n = 0

■ 見分け方のポイント

ana_nan+1a_{n+1}an+2a_{n+2}3つの項が1つの式に混在している形です。

■ 解法

2次方程式の解を利用して、2種類の「等比数列」を作り出します。

  1. 特性方程式を解くan+2x2a_{n+2} \to x^2an+1xa_{n+1} \to xan1a_n \to 1 と置いた2次方程式を解き、2つの解 α,β\alpha, \beta を求めます。
  2. 2つの式を作る:解を使って、an+2αan+1=β(an+1αan)a_{n+2} - \alpha a_{n+1} = \beta (a_{n+1} - \alpha a_n) とその逆の式の2本を立て、それぞれ等比数列として解きます。
  3. 辺々を引き算する:求めた2つの式を縦に引き算し、an+1a_{n+1} を消去します。

■ 【例題】

a1=1,a2=4,an+25an+1+6an=0a_1 = 1, \quad a_2 = 4, \quad a_{n+2} - 5a_{n+1} + 6a_n = 0

■ 【解法ステップ】

STEP 1:特性方程式を解く

x25x+6=0    (x2)(x3)=0    x=2,3x^2 - 5x + 6 = 0 \implies (x - 2)(x - 3) = 0 \implies x = 2, 3

解は α=2,β=3\alpha = 2, \beta = 3 です。

STEP 2:2つの式を作り、解く 【式1】 α=2\alpha=2 を左側に使う

an+22an+1=3(an+12an)a_{n+2} - 2a_{n+1} = 3(a_{n+1} - 2a_n)

数列 {an+12an}\{a_{n+1} - 2a_n\} は公比 33 の等比数列。 初項は a22a1=42=2a_2 - 2a_1 = 4 - 2 = 2

an+12an=23n1a_{n+1} - 2a_n = 2 \cdot 3^{n-1} \quad \cdots ①

【式2】 β=3\beta=3 を左側に使う

an+23an+1=2(an+13an)a_{n+2} - 3a_{n+1} = 2(a_{n+1} - 3a_n)

数列 {an+13an}\{a_{n+1} - 3a_n\} は公比 22 の等比数列。 初項は a23a1=43=1a_2 - 3a_1 = 4 - 3 = 1

an+13an=12n1=2n1a_{n+1} - 3a_n = 1 \cdot 2^{n-1} = 2^{n-1} \quad \cdots ②

STEP 3:辺々を引き算する ①から②を縦に引き算します。

an+12an=23n1)an+13an=2n1an=23n12n1\begin{aligned} a_{n+1} - 2a_n &= 2 \cdot 3^{n-1} \\ -) \quad a_{n+1} - 3a_n &= 2^{n-1} \\ \hline a_n &= 2 \cdot 3^{n-1} - 2^{n-1} \end{aligned}

【答え】 an=23n12n1a_n = 2 \cdot 3^{n-1} - 2^{n-1}

15. 連立漸化式: an+1=pan+qbna_{n+1} = p a_n + q b_n

■ 見分け方のポイント

ana_nbnb_n2つの数列が、2つの式で互いに絡み合っている形です。

■ 解法

片方の文字を消去し、1つの数列についての「隣接3項間型(パターン14)」に持ち込んで倒します。

  1. bn=b_n = の形にする:第1式を変形して、bnb_nana_n の式で表します。
  2. 番号をズラす:1で作った式の nnn+1n+1 にズラして bn+1=b_{n+1} = の形を作ります。
  3. 第2式に代入する:これらを第2式にすべて代入すると、bnb_n が完全に消え、ana_n の隣接3項間型になります。

■ 【例題】

a1=1,b1=1{an+1=2an+bnbn+1=an+2bna_1 = 1, \quad b_1 = 1 \\ \begin{cases} a_{n+1} = 2 a_n + b_n & \cdots ① \\ b_{n+1} = a_n + 2 b_n & \cdots ② \end{cases}

■ 【解法ステップ】

STEP 1:bn=b_n = の形にする ①を変形して bnb_n について解きます。

bn=an+12anb_n = a_{n+1} - 2a_n \quad \cdots ③

STEP 2:番号をズラす ③の nnn+1n+1 に置き換えます。

bn+1=an+22an+1b_{n+1} = a_{n+2} - 2a_{n+1} \quad \cdots ④

STEP 3:第2式に代入する ③と④を、元の②の式に代入します。

an+22an+1=an+2(an+12an)a_{n+2} - 2a_{n+1} = a_n + 2(a_{n+1} - 2a_n)

展開して整理します。

an+22an+1=an+2an+14ana_{n+2} - 2a_{n+1} = a_n + 2a_{n+1} - 4a_n an+24an+1+3an=0a_{n+2} - 4a_{n+1} + 3a_n = 0

これで隣接3項間型(パターン14)になりました。特性方程式 x24x+3=0x^2 - 4x + 3 = 0 を解くと x=1,3x = 1, 3

【式1】 an+2an+1=3(an+1an)a_{n+2} - a_{n+1} = 3(a_{n+1} - a_n) a2=2(1)+1=3a_2 = 2(1)+1 = 3 より、初項は a2a1=31=2a_2 - a_1 = 3 - 1 = 2

an+1an=23n1a_{n+1} - a_n = 2 \cdot 3^{n-1} \quad \cdots ⑤

【式2】 an+23an+1=1(an+13an)a_{n+2} - 3a_{n+1} = 1(a_{n+1} - 3a_n) 初項は a23a1=33=0a_2 - 3a_1 = 3 - 3 = 0

an+13an=0a_{n+1} - 3a_n = 0 \quad \cdots ⑥

⑤から⑥を引くと、

2an=23n1    an=3n12a_n = 2 \cdot 3^{n-1} \implies a_n = 3^{n-1}

最後に③に代入して bnb_n を求めます。

bn=3n23n1=33n123n1=3n1b_n = 3^n - 2 \cdot 3^{n-1} = 3 \cdot 3^{n-1} - 2 \cdot 3^{n-1} = 3^{n-1}

【答え】 an=3n1,bn=3n1a_n = 3^{n-1}, \quad b_n = 3^{n-1}

【番外編】隣接3項間漸化式のイレギュラー攻略

14-A. 隣接3項間(重解パターン): an+22pan+1+p2an=0a_{n+2} - 2p a_{n+1} + p^2 a_n = 0

■ 見分け方のポイント

特性方程式 x2+px+q=0x^2 + px + q = 0 を解いたとき、解が1つ(重解)になってしまうパターンです。

■ 解法

解が1つしかないため、an+2αan+1=β(an+1αan)a_{n+2} - \alpha a_{n+1} = \beta (a_{n+1} - \alpha a_n) の式が1本しか作れず、辺々を引き算して an+1a_{n+1} を消去する技が使えません。しかし、実はこれ、**「指数型(グループE-8)」**に変化するボーナス問題です。

  1. 1本だけ式を作る:重解 α\alpha を使って、作れる1本だけの等比数列の式を作ります。
  2. 階差数列を求める:その式を解くと、an+1αan=(指数の式)a_{n+1} - \alpha a_n = \text{(指数の式)} になります。
  3. 指数型として割る:できた式は完全に「指数型(パターン8)」なので、両辺を αn+1\alpha^{n+1} で割って解き切ります。

■ 【例題】

a1=1,a2=4,an+24an+1+4an=0a_1 = 1, \quad a_2 = 4, \quad a_{n+2} - 4a_{n+1} + 4a_n = 0

■ 【解法ステップ】

STEP 1:特性方程式を解き、式を1本立てる

x24x+4=0    (x2)2=0    x=2 (重解)x^2 - 4x + 4 = 0 \implies (x - 2)^2 = 0 \implies x = 2 \text{ (重解)}

この重解を使って式を変形します。

an+22an+1=2(an+12an)a_{n+2} - 2a_{n+1} = 2(a_{n+1} - 2a_n)

STEP 2:等比数列として1回解く 数列 {an+12an}\{a_{n+1} - 2a_n\} は公比 22 の等比数列です。 初項は a22a1=42=2a_2 - 2a_1 = 4 - 2 = 2

an+12an=22n1=2na_{n+1} - 2a_n = 2 \cdot 2^{n-1} = 2^n an+1=2an+2na_{n+1} = 2a_n + 2^n

ここで引き算する相手がいなくなりますが、よく見てください。この式は**指数型(パターン8)**そのものです!

STEP 3:両辺を 2n+12^{n+1} で割る 両辺を 2n+12^{n+1} で割って塊を作ります。

an+12n+1=2an2n+1+2n2n+1    an+12n+1=an2n+12\frac{a_{n+1}}{2^{n+1}} = \frac{2a_n}{2^{n+1}} + \frac{2^n}{2^{n+1}} \implies \frac{a_{n+1}}{2^{n+1}} = \frac{a_n}{2^n} + \frac{1}{2}

bn=an2nb_n = \frac{a_n}{2^n} と置くと、bn+1=bn+12b_{n+1} = b_n + \frac{1}{2}。 これは公差 12\frac{1}{2} の等差数列です。初項 b1=a12=12b_1 = \frac{a_1}{2} = \frac{1}{2}

bn=12+(n1)12=12n=n2b_n = \frac{1}{2} + (n-1)\frac{1}{2} = \frac{1}{2}n = \frac{n}{2}

元に戻します。

an2n=n2    an=2nn2=n2n1\frac{a_n}{2^n} = \frac{n}{2} \implies a_n = 2^n \cdot \frac{n}{2} = n \cdot 2^{n-1}

【答え】 an=n2n1a_n = n \cdot 2^{n-1}

14-B. 隣接3項間(定数項ありパターン): an+2+pan+1+qan=ra_{n+2} + p a_{n+1} + q a_n = r

■ 見分け方のポイント

右辺が 00 ではなく、定数 rr が存在している形です。

■ 解法

定数が邪魔で等比数列を作れないため、まずは**「定数消去(グループC)」**のアプローチをとります。

  1. 全体の特性方程式を解くan+2,an+1,ana_{n+2}, a_{n+1}, a_n をすべて同じ文字(α\alpha)に置き換えて定数を求める方程式を解きます。
  2. 全体をズラす:求めた α\alpha を使って bn=anαb_n = a_n - \alpha と置き換えると、見事に右辺が 00 の普通の隣接3項間に生まれ変わります。
  3. 通常の3項間として解く:あとはパターン14の手順で解くだけです。

■ 【例題】

a1=1,a2=2,an+25an+1+6an=4a_1 = 1, \quad a_2 = 2, \quad a_{n+2} - 5a_{n+1} + 6a_n = 4

■ 【解法ステップ】

STEP 1:全体の特性方程式を解く 邪魔な右辺の 44 を消すため、すべてを α\alpha にしたダミーの方程式を解きます。

α5α+6α=4    2α=4    α=2\alpha - 5\alpha + 6\alpha = 4 \implies 2\alpha = 4 \implies \alpha = 2

STEP 2:全体から α\alpha を引いて置き換える 元の漸化式を次のように強引に変形します(展開すると元に戻ることが確認できます)。

(an+22)5(an+12)+6(an2)=0(a_{n+2} - 2) - 5(a_{n+1} - 2) + 6(a_n - 2) = 0

ここで bn=an2b_n = a_n - 2 という新しい数列を作ると、

bn+25bn+1+6bn=0b_{n+2} - 5b_{n+1} + 6b_n = 0

これで右辺が 00 の普通の隣接3項間(パターン14)になりました! ただし、初項もズレることに注意してください。 b1=a12=1,b2=a22=0b_1 = a_1 - 2 = -1, \quad b_2 = a_2 - 2 = 0

STEP 3:通常の3項間として解く 特性方程式 x25x+6=0    x=2,3x^2 - 5x + 6 = 0 \implies x = 2, 3

【式1】 bn+22bn+1=3(bn+12bn)b_{n+2} - 2b_{n+1} = 3(b_{n+1} - 2b_n) 初項は b22b1=02(1)=2b_2 - 2b_1 = 0 - 2(-1) = 2

bn+12bn=23n1b_{n+1} - 2b_n = 2 \cdot 3^{n-1} \quad \cdots ①

【式2】 bn+23bn+1=2(bn+13bn)b_{n+2} - 3b_{n+1} = 2(b_{n+1} - 3b_n) 初項は b23b1=03(1)=3b_2 - 3b_1 = 0 - 3(-1) = 3

bn+13bn=32n1b_{n+1} - 3b_n = 3 \cdot 2^{n-1} \quad \cdots ②

①から②を引きます。

bn=23n132n1b_n = 2 \cdot 3^{n-1} - 3 \cdot 2^{n-1}

最後に bn=an2b_n = a_n - 2 だったので、+2+2 を右辺に戻して終了です。

【答え】 an=23n132n1+2a_n = 2 \cdot 3^{n-1} - 3 \cdot 2^{n-1} + 2

完結!全15パターン制覇の道

お疲れ様でした!基礎固め編から始まり、これにて大学受験に出題される「漸化式の全15パターン」の攻略が完了しました。

どんなに複雑な漸化式でも、結局私たちがやっていることは**「知っている基本形にどうやって変換するか」**というパズルに過ぎません。

  • 邪魔な定数がある \to 特性方程式で引く
  • nn の式がある \to ズラして引く
  • 余計な係数がある \to 両辺を割る
  • 形が複雑 \to 対数や逆数をとって置き換える

この「式変形の目的」を理解しておけば、初見の問題でも計算の糸口が必ず見つかるはずです。公式をただ暗記するのではなく、手を動かしてこの流れを体に染み込ませてくださいね!

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