今回は三角関数の 加法定理 について見ていきます。
sin(x+y),cos(x+y)
のように、角度を足したときにどうなるかを表す公式です。
加法定理は公式として覚えることが多いですが、実は 回転 から自然に導くことができます。
1. 加法定理とは
加法定理は次の公式です。
sin(x+y)=sinxcosy+cosxsiny
cos(x+y)=cosxcosy−sinxsiny
一見すると少し複雑ですが、意味ははっきりしています。
角度を足した結果を、もとの角度の情報だけで表している
という公式です。
では、なぜこうなるのでしょうか。
2. 三角関数を座標として見る
単位円を考えると、角度 x に対応する点は
(cosx,sinx)
で表されます。

つまり三角関数は
角度に対応する点の座標
として理解できます。
したがって、角度 x+y に対応する点は
(cos(x+y),sin(x+y))
です。
加法定理を示したいということは、
この点の座標を cosx,sinx,cosy,siny で表したい ということです。
ここでつまずいた人はこの記事を読んでみてください。
寄り道
3. 角度を足すとは回転すること
角度 x+y は、
- まず角度 x の方向を向き
- そこからさらに角度 y だけ回転する
と考えることができます。
つまり、角度 x の点
(cosx,sinx)
を、さらに角度 y だけ回転させれば
(cos(x+y),sin(x+y))
になるはずです。

したがって問題は、
点 (cosx,sinx) を角度 y だけ回転すると、座標がどうなるか
を求めることになります。
4. 回転したときの座標を作る
ここが一番大事なところです。
点 (cosx,sinx) を、角度 y だけ回転させたときの座標を求めます。
そのために、「回転後の座標軸」を考えます。
もともとの座標では
- 横方向:(1,0)
- 縦方向:(0,1)
でした。
これを角度 y だけ回転すると、
- 新しい横方向は (cosy,siny)
- 新しい縦方向は (−siny,cosy)
になります。
つまり、回転後の座標では
横に1進む = (cosy,siny) に進む
縦に1進む = (−siny,cosy) に進む
ということです。
もともとの点 (cosx,sinx) は、
- 横に cosx
- 縦に sinx
だけ進んだ点でした。

したがって、これを回転後の座標軸で表すと
cosx(cosy,siny)+sinx(−siny,cosy)
となります。
これを計算すると
(cosxcosy−sinxsiny, cosxsiny+sinxcosy)
となります。
5. 加法定理が出てくる
一方で、この点は「角度 x+y の点」でもあるので、
(cos(x+y),sin(x+y))
とも書けます。
したがって、座標を比べると
cos(x+y)=cosxcosy−sinxsiny
sin(x+y)=cosxsiny+sinxcosy
となります。
順番を入れ替えて書けば、
sin(x+y)=sinxcosy+cosxsiny
cos(x+y)=cosxcosy−sinxsiny
です。
これが加法定理です。
6. 差の公式
加法定理が分かれば、差の公式もすぐに出ます。
y を −y に置き換えると、
sin(x−y)=sinxcosy−cosxsiny
cos(x−y)=cosxcosy+sinxsiny
となります。
ここで
cos(−y)=cosy,sin(−y)=−siny
を使っています。
まとめ
加法定理
sin(x+y)=sinxcosy+cosxsiny
cos(x+y)=cosxcosy−sinxsiny
は、単なる暗記公式ではありません。
その本質は
角度を足すことは、点を回転させること
にあります。
そして回転後の座標をきちんと作ることで、加法定理は自然に現れます。