n乗の微分公式を理解する。なぜ成り立つのかを定義から解説

基礎

今回は

(xn)=nxn1(x^n)' = nx^{n-1}

がなぜ成り立つのかを、微分の定義から丁寧に見ていきます。

さらに、

  • 定数の微分はなぜ 0 なのか
  • なぜ和ごとに微分できるのか
  • なぜ nn が自然数でなくても成り立つのか

まで含めて、「公式のつながり」を理解します。

1. 微分の定義

微分は次の極限で定義されます。

f(x)=limh0f(x+h)f(x)hf'(x)=\lim_{h\to0}\frac{f(x+h)-f(x)}{h}

これは

「少しずらしたときの変化率」を極限まで縮めたもの

でした。

今回はここからどうして公式が成り立つのかを考えていきます。

この定義についてはこの記事で説明しています。

寄り道

2. xnx^n の微分(nn が自然数)

f(x)=xnf(x)=x^n とすると

f(x)=limh0(x+h)nxnhf'(x)=\lim_{h\to0}\frac{(x+h)^n-x^n}{h}

です。

ここで (x+h)n(x+h)^n を二項定理で展開すると

(x+h)n=xn+nxn1h+n(n1)2xn2h2++hn(x+h)^n = x^n + nx^{n-1}h + \frac{n(n-1)}{2}x^{n-2}h^2 + \cdots + h^n

これを代入すると

(x+h)nxnh=nxn1h+n(n1)2xn2h2+h\frac{(x+h)^n-x^n}{h} = \frac{nx^{n-1}h + \frac{n(n-1)}{2}x^{n-2}h^2 + \cdots}{h}

となります。

hh で割ると

nxn1+n(n1)2xn2h+nx^{n-1} + \frac{n(n-1)}{2}x^{n-2}h + \cdots

となり、h0h \to 0 で後ろの項はすべて消えます。

したがって

(xn)=nxn1(x^n)' = nx^{n-1}

となります。

3. 定数の微分はなぜ 0 か

まず、定数関数 f(x)=cf(x)=c を考えます。

定義に戻ると

f(x)=limh0cch=limh00=0f'(x) = \lim_{h\to0}\frac{c-c}{h} = \lim_{h\to0} 0 = 0

です。

つまり

変化しないものは、変化率が 0

になります。

また c=x0c = x^0 と見れば

(x0)=0x1=0(x^0)' = 0 \cdot x^{-1} = 0

とも一致します。

つまり

定数の微分は、xnx^n の公式の特別な場合になっている

と分かります。

4. 定数倍の場合はどうなるか

次に、関数に定数をかけた場合を考えます。

(cf(x))(cf(x))'

これを定義から計算すると

(cf)=limh0cf(x+h)cf(x)h=limh0cf(x+h)f(x)h\begin{aligned} (cf)' &= \lim_{h\to0}\frac{c f(x+h)-c f(x)}{h} \\[6pt] &= \lim_{h\to0} c \cdot \frac{f(x+h)-f(x)}{h} \end{aligned}

ここで、cchh に関係ない定数なので、極限の外に出すことができます。

=climh0f(x+h)f(x)h= c \cdot \lim_{h\to0}\frac{f(x+h)-f(x)}{h}

したがって

(cf)=cf(x)(cf)' = c f'(x)

となります。

つまり

定数倍はそのまま外に出せる

ということです。

これは、

変化の速さは、スケール(倍率)をかけると同じようにスケールされる

という自然な性質です。

例えば、関数の値を2倍にすれば、変化の速さも2倍になります。

この結果を使うと、

(2x)=2(x)=2(2x)' = 2 \cdot (x)' = 2

(3x2)=3(x2)=6x(3x^2)' = 3 \cdot (x^2)' = 6x

のように計算できるようになります。

5. 多項式の場合はどうなるか

それでは

x2+2xx^2+2x

などの場合はどうなるのでしょうか。

次のような和の微分を考えてみます。

(f(x)+g(x))(f(x)+g(x))'

を定義から計算すると

(f+g)=limh0f(x+h)+g(x+h)f(x)g(x)h=limh0(f(x+h)f(x)h+g(x+h)g(x)h)\begin{aligned} (f+g)' &= \lim_{h\to0}\frac{f(x+h)+g(x+h)-f(x)-g(x)}{h} \\[6pt] &= \lim_{h\to0} \left( \frac{f(x+h)-f(x)}{h} + \frac{g(x+h)-g(x)}{h} \right) \end{aligned}

ここで極限は足し算に対して分配できるので

=limh0f(x+h)f(x)h+limh0g(x+h)g(x)h= \lim_{h\to0}\frac{f(x+h)-f(x)}{h} + \lim_{h\to0}\frac{g(x+h)-g(x)}{h}

となります。

つまり

(f+g)=f+g(f+g)' = f' + g'

です。

これは

変化率は足し合わせてもそのまま足される

という性質です。

これはxnx^nのような形に限らず、すべての関数において、和は別々で微分できることを表しています。

ここまでで

  • (xn)(x^n)' が分かった
  • 和の微分ができる

ので、

x2+2xx^2 + 2x

のような式も

(x2)+(x)(x^2)' + (x)'

と分けて考えられます。

(ax2)=2(x2)=2x(ax^2)' = 2 \cdot (x^2)' = 2x

となります。

したがって

(x2+2x)=2x+2(x^2 + 2x)' = 2x + 2

です。

このように、

多項式は項ごとに微分できる

ことが分かります。

6. nn が自然数でない場合

ここまでで (xn)(x^n)' は自然数 nn で導きました。

では、分数の場合はどうでしょうか。

例えば

x1/2=xx^{1/2} = \sqrt{x}

です。

ここで

y=x1/2y = x^{1/2}

とおくと

y2=xy^2 = x

です。

両辺を微分すると

2ydydx=12y \frac{dy}{dx} = 1

となるので

dydx=12y=12x\frac{dy}{dx} = \frac{1}{2y} = \frac{1}{2\sqrt{x}}

つまり

(x1/2)=12x1/2(x^{1/2})' = \frac{1}{2}x^{-1/2}

となります。

これは

(xn)=nxn1(x^n)' = nx^{n-1}

に一致しています。

このようにして、この公式は

自然数だけでなく、分数や実数にも拡張される

ことが分かります。

まとめ

(xn)=nxn1(x^n)' = nx^{n-1}

  • 微分の定義
  • 二項定理

から導かれます。

さらにこの公式は

  • 定数の微分
  • 和の微分
  • 多項式の微分

とつながっており、

微分計算の基本構造そのもの

になっています。

そしてこの考え方は、分数や実数の指数にも自然に広がっていきます。

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