ネイピア数 e とは何か?指数関数の微分から理解する

基礎

今回は、ネイピア数eeとは何かについて話していこうと思います。 ネイピア数とは自然対数の底とも呼ばれ、簡単に言えば

e=2.71828182846...e=2.71828182846...

という数のことです。でもこれはいったい何の数なのか。

微分について学んだ人は2x2^xみたいな指数関数はどのように微分するのだろうと気になった人もいるかもしれません。これは、思ったより簡単にはいきません。ネイピア数eeという、新しい数を定義しないといけません。

ちなみに指数関数について気になる方はこちらをご覧ください。

寄り道

それでは、π\piと並ぶ有名な数学定数eeについてみていきましょう。

1. ネイピア数eeの定義

まず、ネイピア数の定義はこちらです。

e=limn(1+1n)ne=\lim_{n \to ∞}(1+\frac{1}{n})^n

もしくは次のような書き方もあります。

e=limh0(1+h)1he=\lim_{h \to 0}(1+h)^\frac{1}{h}

無限に近づけた数の逆数は0に近づくので、これら2つの式は同じものを表しています。この定義を言葉で表すなら、1にものすごく小さい数を足したものをもすごく何度もかけるといった感じです。

初めて見た方はなぜこんな定義をするのか不思議に思いますよね。しかし、この記事を読めばこの定義がいかに良くできたものか分かるはずです。

実はこのネイピア数eeの定義は、次のある特徴が成り立つように考えられたものなのです。

2. exe^xの特徴:微分しても形が変わらない

f(x)=exf(x)=e^xという関数には次の特徴が成り立ちます。

(ex)=e x(e^x)'=e~^x

そう、微分しても全く同じe xe~xという形が出てくるのです。どうしてこのようになるのか、ネイピア数の定義を使って考えてみましょう。

まずf(x)=exf(x)=e^xとおいて、微分の定義から少しくくって

f(x)=limh0ex+hexh=limh0exeh1hf'(x)=\lim_{h\to0}\frac{e^{x+h}-e^x}{h}=\lim_{h\to0}e^x・\frac{e^h-1}{h}

となります。 微分の定義についてはこちらをご覧ください。

寄り道

exe^xhhを含まないので極限の外にくくってよいので、

f(x)=exlimh0eh1hf'(x)=e^x\lim_{h\to0}\frac{e^h-1}{h}

とでき、あとは後半の極限がわかれば微分が求まりそうです。

しかしこのままだと、ここからどうすれば良いかわかりませんよね。これが、指数関数の微分で戸惑う理由です。指数の底がeeでなければ、ここから式変形していくことは困難です。しかし、eeの定義の二つ目の式を思い出してください。

e=limh0(1+h)1he=\lim_{h \to 0}(1+h)^\frac{1}{h}

今回の微分の式ではすでにhhを0に近づけているので、ここは数学的に少し厳密ではないですが、そのままe=(1+h)1he=(1+h)^\frac{1}{h}を代入すれば良さそうです。

limh0eh1h=limh0((1+h)1h)h1h=limh0(1+h)11h=limh0hh=1\lim_{h\to0}\frac{e^h-1}{h} =\lim_{h\to0}\frac{((1+h)^\frac{1}{h})^h-1}{h} =\lim_{h\to0}\frac{(1+h)^1-1}{h} =\lim_{h\to0}\frac{h}{h} =1

よって後半の極限が11になることがわかりました。したがって

f(x)=exf'(x)=e^x

が成り立ちます。

eeの定義がいかに都合よく作られていたかわかりましたか?

3. 指数関数の微分

それでは2x2^xなど、底がee以外の指数関数の微分はどうなるのでしょう。これは2=eloge22=e^{\log_e2}と考えることで、次のように変形できます。

2x=exloge22^x=e^{x\log_e2}

これは合成関数としてみることができるので、

(2x)=loge2(exloge2)=loge22x(2^x)'=\log_e2(e^{x\log_e2})=\log_e2・2^x

となります。このようにeeが全く関係のない指数関数の微分にもeeが出てくるのです。

ネイピア数eeはこれ以外にもいろいろなところで自然に出てくる数であるため、特別な定数として決められているのです。また、logex\log_exの形がよく出てくるため、数学ではよくeeを省略して、logx\log xと書いても底はeeとしてみます。このような対数を自然対数と呼ぶため、eeは自然対数の底と呼ばれるのです。

ここで使った対数の計算や合成関数の微分についてはこちらをご覧ください。

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4. eeの値

冒頭では

e=2.71828182846...e=2.71828182846...

のようになるというように言いました。せっかくなので、eeの定義からこれくらいの値になることを求めてみましょう。

一つ目の定義の式を二項定理で展開していきます。

e=limn(1+1n)ne=\lim_{n \to ∞}(1+\frac{1}{n})^n

二項定理より

(1+1n)n=k=0nnCk(1n)k=1+nC11n+nC21n2+nC31n3++1nn\left(1+\frac{1}{n}\right)^n = \sum_{k=0}^{n} nC_k\left(\frac{1}{n}\right)^k = 1 + nC_1\frac{1}{n} + nC_2\frac{1}{n^2} + nC_3\frac{1}{n^3} + \cdots + \frac{1}{n^n}

となります。

ここで各項について整理すると

nCk1nk=n(n1)(nk+1)k!nk=1k!(11n)(12n)(1k1n)nC_k\frac{1}{n^k} = \frac{n(n-1)\cdots(n-k+1)}{k!\,n^k} = \frac{1}{k!} \left(1-\frac{1}{n}\right) \left(1-\frac{2}{n}\right) \cdots \left(1-\frac{k-1}{n}\right)

と書くことができます。

したがって

(1+1n)n=k=0n1k!(11n)(12n)(1k1n)\left(1+\frac{1}{n}\right)^n = \sum_{k=0}^{n} \frac{1}{k!} \left(1-\frac{1}{n}\right) \left(1-\frac{2}{n}\right) \cdots \left(1-\frac{k-1}{n}\right)

となります。

ここで nn \to \infty とすると

(11n), (12n), 1\left(1-\frac{1}{n}\right),\ \left(1-\frac{2}{n}\right),\ \dots \to 1

となるため、各項は

1k!\frac{1}{k!}

に近づきます。したがって

e=limn(1+1n)n1+1+12!+13!+14!+e = \lim_{n\to\infty}\left(1+\frac{1}{n}\right)^n \approx 1 + 1 + \frac{1}{2!} + \frac{1}{3!} + \frac{1}{4!} + \cdots

と考えることができます。

実際にいくつか計算すると

1+1=22+12=2.52.5+16=2.6662.666+124=2.70831 + 1 = 2 \\ 2 + \frac{1}{2} = 2.5 \\ 2.5 + \frac{1}{6} = 2.666\cdots \\ 2.666\cdots + \frac{1}{24} = 2.7083\cdots

となり、eeが2.7くらいになることがわかります。

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まとめ

今回はネイピア数eeがどんな数か、指数関数の微分はどのように行うかを見ていきました。

e=limn(1+1n)n=limh0(1+h)1he=\lim_{n \to ∞}(1+\frac{1}{n})^n=\lim_{h \to 0}(1+h)^\frac{1}{h}

eeとは上のような式で定義され、微分しても形が変わらない指数関数の底でした。

ネイピア数eeがとても特別な数であることが分かったと思います。しかし、ここに出てきた特徴はeeの始まりでしかありません。この後、数学や物理の様々な場面でこの数と出会うことになるので、楽しみにしていてください!!

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