前の記事では、微分とは
h→0limhf(a+h)−f(a)
によって定義されることを見ました。
寄り道
今回は、積の微分・商の微分・合成関数の微分が、実際にはどのような形になるのか見ていきます。
たとえば
y=x2sinx
のように、関数が組み合わさった形を考えてみます。
このとき
「それぞれ微分して掛ければいいのでは?」
と思うかもしれません。
しかし実際には
(2x)(cosx)
のようにはなりません。
つまり
単純にバラバラに微分するだけではうまくいかない
のです。
そこで、積・商・合成関数ではどのような形になるのかを順に見ていきます。
1 積の微分
y=f(x)g(x)
の微分がどうなるかを、定義からそのまま追ってみます。
微分の定義に入れると
dxd(f(x)g(x))=h→0limhf(x+h)g(x+h)−f(x)g(x)
です。
このままでは扱いにくいので、途中で
f(x+h)g(x)
を足して引きます。
hf(x+h)g(x+h)−f(x)g(x)=hf(x+h)g(x+h)−f(x+h)g(x)+f(x+h)g(x)−f(x)g(x)=hf(x+h){g(x+h)−g(x)}+h{f(x+h)−f(x)}g(x)
したがって
dxd(f(x)g(x))=h→0lim(f(x+h)hg(x+h)−g(x)+hf(x+h)−f(x)g(x))=f(x)g′(x)+f′(x)g(x)
となります。
したがって、積の微分は
(fg)′=f′g+fg′
です。
つまり
前を微分して後ろはそのまま + 前はそのままで後ろを微分
となります。
たとえば
y=x2⋅sinx
なら
y′=2xsinx+x2cosx
になります。
2 商の微分
次に、商
y=g(x)f(x)
を考えます。
微分の定義にそのまま入れると、分数どうしの差が現れます。
まずはここを通分して 1 つの分数にまとめます。
すると分子は
f(x+h)g(x)−f(x)g(x+h)
となりますが、このままでは微分の定義の形が見えてきません。
そこで途中で
f(x)g(x)
を足して引き、分子を 2 つの差に分けます。
そうすると
- f(x+h)−f(x) を含む部分
- g(x+h)−g(x) を含む部分
が現れて、極限が取れる形になります。
まず、通分すると
(g(x)f(x))′=h→0limhg(x+h)f(x+h)−g(x)f(x)=h→0limhg(x+h)g(x)f(x+h)g(x)−f(x)g(x+h)
となります。
ここで、分子に
f(x)g(x)−f(x)g(x)
を入れると
(g(x)f(x))′=h→0limhg(x+h)g(x)f(x+h)g(x)−f(x)g(x)+f(x)g(x)−f(x)g(x+h)=h→0lim(hg(x+h)g(x){f(x+h)−f(x)}g(x)−hg(x+h)g(x)f(x){g(x+h)−g(x)})
となり、分子が 2 つの変化に分かれます。
あとは、それぞれを微分の定義の形に見直します。
(g(x)f(x))′=h→0lim(hf(x+h)−f(x)⋅g(x+h)1−g(x+h)g(x)f(x)⋅hg(x+h)−g(x))=g(x)f′(x)−g(x)2f(x)g′(x)=g(x)2f′(x)g(x)−f(x)g′(x)
となります。
したがって、商の微分は
(gf)′=g2f′g−fg′
です。
これは
(上を微分 × 下 − 上 × 下を微分) / 下²
と覚えると整理しやすいです。
3 合成関数の微分
最後に、合成関数
y=f(g(x))
を考えます。
微分の定義にそのまま入れると
dxdf(g(x))=h→0limhf(g(x+h))−f(g(x))
となります。
ここで、このままでは外側の関数 f の変化と、内側の関数 g の変化がひとまとまりになっていて見えにくいです。
そこで分母分子に
g(x+h)−g(x)
を掛けます。
dxdf(g(x))=h→0lim(g(x+h)−g(x)f(g(x+h))−f(g(x))⋅hg(x+h)−g(x))
すると、前半は f の変化率、後半は g の変化率になっています。
したがって
dxdf(g(x))=f′(g(x))⋅g′(x)
となります。
つまり
外側を微分して、中身はそのまま × 中身を微分
という形になります。
たとえば
y=(x2+1)3
では、外側の形は
()3
で、中身は
x2+1
です。
したがって、外側を微分して中身はそのままにすると
3(x2+1)2
になります。
さらに中身を微分すると
2x
なので、
y′=3(x2+1)2⋅2x
となります。
もう一つの見方として、中身を
u=g(x)
とおく方法もあります。
すると
y=f(u)
となるので、
dxdy=dudy⋅dxdu
と考えることができます。
こちらは実際に計算するときに見通しを立てやすい考え方です。
たとえば
y=(x2+1)3
で
u=x2+1
とおくと、
y=u3
となります。
すると
dudy=3u2,dxdu=2x
なので、
dxdy=dudy⋅dxdu=3u2⋅2x=3(x2+1)2⋅2x
となります。
まとめ
積・商・合成関数では、そのまま微分するのではなく、関数の組み合わさり方に応じて形を見分けることが大切です。
よく使う公式をまとめると、次の 3 つになります。
- 積 → (fg)′=f′g+fg′
- 商 → (gf)′=g2f′g−fg′
- 合成 → f(g(x))′=f′(g(x))g′(x)