極限とは何か?limの意味と考え方をわかりやすく解説

基礎

数学では 極限(limit) という考え方がとても重要になります。

極限とは一言で言うと

ある値にどこまでも近づく

という考え方です。

この考え方は

  • 微分
  • 積分
  • ネイピア数
  • テイラー展開

など、多くの数学の基礎になります。

1. 極限とは何か

例えば次の数列を考えてみます。

1,  0.1,  0.01,  0.001,1,\;0.1,\;0.01,\;0.001,\dots

この数はどんどん小さくなり、 0 に近づいていきます。

ただし

0 にはならない

という点が重要です。

このように

ある値にどんどん近づいていく

状況を数学では 極限 と呼びます。

2. 極限の記号

極限は次のように書きます。

limxaf(x)\lim_{x \to a} f(x)

これは

x が a に近づくとき、f(x) がどうなるか

を表しています。

例えば

limx2(x+1)\lim_{x \to 2} (x+1)

なら

x+1x+1

は 3 に近づくので、

limx2(x+1)=3\lim_{x \to 2} (x+1) = 3

になります。

この例だけを見ると、極限は「ただ代入すればよい計算」に見えるかもしれません。

実際、x+1x+1 のように素直な関数では、その見方でうまくいくことが多いです。

しかし極限では、いつも同じように値が決まるとは限りません。

例えば

  • ある値に近づく場合
  • どこまでも大きくなる場合
  • 値が行ったり来たりして定まらない場合

があります。

そこで次に、極限の結果がどのように分かれるのかを見ていきます。

3. 極限の結果は3つのパターンに分かれる

極限を考えるとき、結果は大きく次のようなパターンになります。

3.1 収束する

ある値に近づく場合です。

例えば

1n\frac{1}{n}

ここで nn をどんどん大きくしていくと

1,12,13,14,1,\frac12,\frac13,\frac14,\dots

と小さくなり、 0 に近づいていきます。

このような場合を

収束する

と言います。

3.2 発散する

値がどんどん大きくなる場合です。

例えば

nn

という数列は

1,2,3,4,5,1,2,3,4,5,\dots

と大きくなり続けます。

この場合、値は特定の数に近づきません。

このような場合を

発散する

と言います。

3.3 振動する

値が一定の方向に近づかず、行ったり来たりする場合もあります。

例えば

(1)n(-1)^n

という数列を考えてみます。

すると

1,1,1,1,1,1,1,-1,1,-1,1,-1,\dots

のように値が変わり続けます。

この場合、値はどこかに近づきません。

これを

振動する

と言います。

4. 右から近づくか左から近づくか

極限を考えるとき、 近づける値が同じでも右側から近づくか左側から近づくかで結果が変わることがあります。

例えば

f(x)=1xf(x)=\frac{1}{x}

を考えてみます。

x0x \to 0 の極限を考えるとき、
x を 0 に近づける

4.1 右から近づく

0.1,  0.01,  0.0010.1,\;0.01,\;0.001

とすると

10,  100,  100010,\;100,\;1000

のように 正の方向に大きくなります。

4.2 左から近づく

0.1,  0.01,  0.001-0.1,\;-0.01,\;-0.001

とすると

10,  100,  1000-10,\;-100,\;-1000

のように 負の方向に大きくなります。

このように

左右で結果が違う

場合もあります。

5. 分数の極限を考える

極限では、分数の形がよく現れます。

ここで大事なのは、

分子と分母のどちらが速く大きくなるか

を見ることです。

例えば

nn2\frac{n}{n^2}

を考えてみます。

これは

1n\frac{1}{n}

と同じなので

0 に近づきます。

つまり

分母の方が速く大きくなると 0 に近づく

ことが分かります。

逆に

n2n\frac{n^2}{n}

なら

nn

と同じなので

無限に大きくなります。

つまり

どちらが速く大きくなるか

を見ることで極限を考えることができます。

同じ考え方で

n2n2\frac{n^2}{n^2}

を考えると、これは

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なので一定の値に近づきます。

つまり分数の極限では、ざっくり言うと

  • 分母の方が速く大きくなると 0 に近づく
  • 分子の方が速く大きくなると無限に大きくなる
  • 同じ速さなら有限の値に近づく

という見方ができます。

6. 分子と分母の増え方を比べる

では、「どちらが速く大きくなるか」とは具体的にどういうことでしょうか。

分数の極限を考えるときは、まず分子と分母がそれぞれどのように増えていくかを見る必要があります。

例えば

2xx2\frac{2^x}{x^2}

では、分子は指数関数で、分母は多項式です。

このとき比較したいのは

y=2x,y=x2y=2^x,\quad y=x^2

という2つの関数です。

このグラフを見ると、

  • x2x^2 も増えていく
  • しかし 2x2^x はそれよりずっと速く増える

ことが分かります。

つまり

2xx2\frac{2^x}{x^2}

では、分子の方が優勢になり、全体としては無限に大きくなっていきます。

逆に

x22x\frac{x^2}{2^x}

では、分母の方が優勢なので 0 に近づきます。

実際に、比そのもの

y=x22x,y=2xx2y=\frac{x^2}{2^x},\quad y=\frac{2^x}{x^2}

をグラフで見ると、極限の結果がそのまま見えてきます。

x22x\frac{x^2}{2^x} は、分母の方が速く増えるので、やがて 0 に近づいていきます。

一方で 2xx2\frac{2^x}{x^2} は、分子の方が優勢なので、途中から急激に大きくなっていきます。

このように、極限では

どちらが大きいか ではなく
どちらが速く増えるか

を見ることが大切です。

7. 無限に続く和も極限で考える

ここまでは、1つの数列や関数がどこに近づくかを見てきました。

しかし極限では、

無限に続く和がどこに近づくか

を考えることもあります。

例えば

1+12+14+18+1 + \frac12 + \frac14 + \frac18 + \dots

のような和です。

項はいつまでも足し続けられますが、全体としては

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に近づいていきます。

このように、無限に続く和でも有限の値に収束することがあります。

数学では、このような無限に続く和を 無限級数 と呼びます。

先ほどの例は特に 等比級数 と呼ばれるもので、 収束する値を比較的簡単に求めることができます。

つまり無限級数も、極限の考え方で扱っているのです。

8. 極限では思いがけない値が現れることもある

しかし、すべての級数が簡単に扱えるわけではありません。

ここで有名な例として、次の級数を考えてみます。

1+14+19+116+1 + \frac14 + \frac19 + \frac1{16} + \dots

これは

n=11n2\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{n^2}

という 級数 です。

しかし実際には有限の値に収束することが知られています。

しかもその値は

π26\frac{\pi^2}{6}

です。

これは バーゼル問題 と呼ばれる有名な問題です。

このように極限では

思いがけない値に収束する面白い結果

もたくさん現れます。

まとめ

極限とは

ある値にどこまでも近づく

という考え方です。

極限には、収束・発散・振動といったパターンがあり、左右からの近づき方で結果が変わることもあります。

分数の極限では、

分子と分母のどちらが速く増えるか

を見ることが重要です。

特に、指数関数は多項式より速く増えるという性質が重要になります。

また極限は、数や関数だけでなく、無限に続く和も扱うことができます。

この極限の考え方は、これから登場する 微分や積分の基礎になります。

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