数学では、次のような式をよく見かけます。
23=8
これは
2×2×2
という意味です。
では次のような式はどうでしょうか。
20
答えは
20=1
です。
さらに
2−1=21
という式もあります。
しかし、どうしてこのようになるのでしょう。
今までの「同じ数を何回かかける」という定義だけを見ると、
- 0回かけると 1 になる
- −1回かけると逆数になる
というのは少し不思議に感じるかもしれません。
実はこれらは、指数法則を壊さないようにすると自然に決まるものです。
この記事では、指数法則から指数の意味を見ていきます。
1. 指数法則
指数には、次のような基本的な性質があります。これを 指数法則 と呼びます。
am×an=am+n
anam=am−n
(am)n=amn
(ab)n=anbn
これらの式は、累乗の意味を考えると自然に理解できます。
1.1 積の法則
例えば
23×22
を考えてみます。
(2×2×2)(2×2)
なので
25
になります。
つまり
23×22=23+2
となります。
これは「同じ数を何回かけるか」を数え直しているだけです。
1.2 商の法則
次に割り算を考えてみます。
2325
は
2×2×22×2×2×2×2
なので、上と下で同じ数を消すと
2×2
が残ります。
つまり
22
です。
これは
25−3
とも書けるので
anam=am−n
という関係になります。
1.3 累乗の累乗
次に
(23)2
を考えてみます。
これは
(2×2×2)2
という意味なので
(2×2×2)(2×2×2)
となります。
つまり 2が全部で6回 かけられています。
したがって
26
になります。
これは
23×2
とも書けるので
(am)n=amn
となります。
1.4 積の累乗
最後に
(ab)3
を考えてみます。
これは
(ab)(ab)(ab)
という意味です。
これを並べ替えると
aaa×bbb
になります。
つまり
a3b3
となります。
したがって
(ab)n=anbn
が成り立ちます。
ここまでが、自然数の指数で成り立つ基本的な法則です。
この法則を どんな指数でも成り立つように拡張する と考えると、
0 や負の数、分数の累乗を自然に定義することができます。
2. なぜ a0=1 になるのか
ここで次の式を考えます。
a3a3
同じ数で割るので、答えは
1
です。
しかし指数法則を使うと
a3a3=a3−3
となります。
つまり
a3−3=a0
です。
したがって
a0=1
でなければ、指数法則が成り立たなくなります。
つまり
指数法則を保つために、0乗は1と定義される
のです。
3. なぜ負の指数があるのか
次に、次の式を考えてみます。
a3a2
指数法則を使うと
a2−3
なので
a−1
になります。
一方、普通に計算すると
a3a2=a2⋅aa2=a1
です。
つまり
a−1=a1
になります。
同じように
a−2=a21
となります。
つまり
負の指数は逆数を表す
ことになります。
4. 分数乗は何を意味するのか
では次のような式はどうでしょうか。
a1/2
指数法則を使うと
(a1/2)2=a1
になります。
つまり
a1/2
は
a
である必要があります。
同じように
a1/3
は
3a
になります。
つまり
分数乗は根号を表す
ことになります。
5. 指数は連続して広がる
ここまで見ると、指数は次のように広がっていることが分かります。
a3, a2, a1, a0, a−1, a−2
さらに
a1/2, a3/2, a1/3
のように、指数は 整数だけでなく分数にも広がります。
このように指数を連続的に拡張していくと、
ax
という形の関数を考えることができます。
これを 指数関数 と呼びます。
6. 指数関数のグラフ
指数が整数だったとき、値は次のような並びになります。
21=2,22=4,23=8,24=16
これは
2,4,8,16,…
という 数列 として考えることができます。
しかし指数を分数まで広げると、
21/2,23/2,21/3
のような値も定義できるようになります。
すると、整数の間の値も埋めることができます。
例えば
21,21.5,22
のように、指数を少しずつ変えると値も少しずつ変化します。
さらに指数を すべての実数 に広げると、
y=2x
という 連続的な関数 として考えることができます。
この関数をグラフにすると次のような形になります。
このグラフから分かるポイントは次の通りです。
- x が増えると 急激に増える
- x が負になると 0 に近づく
- x を少し増やすと 値が一定の割合で増える
もともとは
2,4,8,16,…
という 離れた値の並びとして考えていたものが、
指数を実数まで広げることで
なめらかな曲線として表せる関数になります。
これが 指数関数 です。
まとめ
指数には、次のような重要な性質があります。
am×an=am+n
anam=am−n
この 指数法則 を壊さないようにすると、
- a0=1
- a−1=a1
- a1/2=a
といった定義が自然に決まります。
つまり、0乗や負の指数は特別なルールではなく
指数法則を保つために必然的に決まる
ものなのです。