三角関数の積分テクニック総まとめ|三角置換・半角置換・部分積分の使い分け

解法

三角関数が絡む積分では、通常の置換積分だけで押し切れない問題が出てきます。 ここでは、次の順で理解できるように整理します。

  1. まず「どの手法を使うか」の判定ルール
  2. 次に三角置換の基本3パターン
  3. そのあと、半角・倍角・積和で式を整理する方法
  4. 定積分での区間変換
  5. 発展(半角置換 / 判別式 / 図形的理解 / 奇偶判定 / 部分積分併用)

前回の基礎記事(置換積分の基本)は以下です。

1. まずは判定:通常置換か、三角置換か

この章は、記事全体の「地図」です。 先に手法を決めると、後の章を迷わず使えます。

1.1 最初の分岐(ここだけ先に覚える)

  • sin(ax+b),cos(ax+b)\sin(ax+b),\cos(ax+b) の合成関数:通常の uu 置換
  • 根号 a2x2\sqrt{a^2-x^2}x=asinθx=a\sin\theta
  • 根号 x2+a2\sqrt{x^2+a^2}x=atanθx=a\tan\theta
  • 根号 x2a2\sqrt{x^2-a^2}x=acosθx=\frac{a}{\cos\theta}
  • 根号がなくても式が複雑:半角・倍角・積和で先に変形(3章)

この5つで、ほとんどの典型問題を仕分けできます。

1.2 なぜ三角置換が効くのか

目的は、根号の中を「2乗」にすることです。

  • 1sin2θ=cos2θ1-\sin^2\theta=\cos^2\theta
  • 1+tan2θ=1cos2θ1+\tan^2\theta=\frac{1}{\cos^2\theta}
  • 1cos2θ1=tan2θ\frac{1}{\cos^2\theta}-1=\tan^2\theta

この変換で根号が外れると、あとは通常の積分になります。 2章はこの原理を3パターンに分けて丁寧に計算しています。

1.3 実戦チェック(解く前に毎回確認)

  1. どの型か(根号3型 or 公式変形型)を先に決めたか
  2. 置換後に dxdx と根号を同時に変換したか
  3. 定積分なら区間を先に変換したか
  4. 最後に元の変数へ戻したか(定積分で戻さない場合は区間が新変数になっているか)

2. 基礎3パターン(例題つき)

ここは「型を覚える」だけでなく、なぜ整理できるかを確認しながら読むのがポイントです。 以下では簡単のため a>0a>0 とします。

2章は「根号がある問題」の標準処理です。 3章は「根号がないが式が複雑な問題」を扱います。

2.1 ルート(a^2 - x^2)型

I=0a/2dxa2x2I=\int_0^{a/2} \frac{dx}{\sqrt{a^2-x^2}}

x=asinθ,dx=acosθdθ,a2x2=acosθx=a\sin\theta,\quad dx=a\cos\theta\,d\theta,\quad \sqrt{a^2-x^2}=a|\cos\theta|

と置けば

I=dθI=\int d\theta

区間は

x=0θ=0,x=a2sinθ=12θ=π6x=0\Rightarrow\theta=0,\qquad x=\frac{a}{2}\Rightarrow\sin\theta=\frac{1}{2}\Rightarrow\theta=\frac{\pi}{6}

なので

I=0π/6dθ=π6I=\int_0^{\pi/6}d\theta=\frac{\pi}{6}

となります。

この型が解ける理由は、a2x2a^2-x^2

a2a2sin2θ=a2(1sin2θ)=a2cos2θa^2-a^2\sin^2\theta=a^2(1-\sin^2\theta)=a^2\cos^2\theta

とできるからです。 実際は acosθa|\cos\theta| ですが、通常は π2θπ2-\frac{\pi}{2}\le\theta\le\frac{\pi}{2} を選び、cosθ0\cos\theta\ge0 として計算します。

2.2 ルート(x^2 + a^2)型

I=0adxx2+a2I=\int_0^a \frac{dx}{\sqrt{x^2+a^2}}

x=atanθ,dx=acos2θdθ,x2+a2=acosθx=a\tan\theta,\quad dx=\frac{a}{\cos^2\theta}\,d\theta,\quad \sqrt{x^2+a^2}=\frac{a}{|\cos\theta|}

より

I=1cosθdθI=\int \frac{1}{\cos\theta}\,d\theta

区間は

x=0θ=0,x=aθ=π4x=0\Rightarrow \theta=0,\qquad x=a\Rightarrow \theta=\frac{\pi}{4}

なので

I=0π/41cosθdθ=0π/4cosθcos2θdθI=\int_0^{\pi/4}\frac{1}{\cos\theta}\,d\theta =\int_0^{\pi/4}\frac{\cos\theta}{\cos^2\theta}\,d\theta u=sinθ,du=cosθdθ,cos2θ=1u2u=\sin\theta,\quad du=\cos\theta\,d\theta,\quad \cos^2\theta=1-u^2 I=01/2du1u2=1201/2(11+u+11u)duI=\int_0^{1/\sqrt{2}}\frac{du}{1-u^2} =\frac{1}{2}\int_0^{1/\sqrt{2}}\left(\frac{1}{1+u}+\frac{1}{1-u}\right)du =12[log1+u1u]01/2=12log ⁣(2+121)=log(2+1)=\frac{1}{2}\left[\log\left|\frac{1+u}{1-u}\right|\right]_0^{1/\sqrt{2}} =\frac{1}{2}\log\!\left(\frac{\sqrt{2}+1}{\sqrt{2}-1}\right) =\log(\sqrt{2}+1)

この型では

x2+a2=a2tan2θ+a2=a2(1+tan2θ)=a2cos2θx^2+a^2=a^2\tan^2\theta+a^2=a^2(1+\tan^2\theta)=\frac{a^2}{\cos^2\theta}

となるため、根号が acosθ\frac{a}{|\cos\theta|} に簡単化されます。 通常は θ(π2,π2)\theta\in\left(-\frac{\pi}{2},\frac{\pi}{2}\right) を取り、cosθ>0\cos\theta>0 として進めます。

2.3 ルート(x^2 - a^2)型

I=a2adxx2a2I=\int_a^{2a} \frac{dx}{\sqrt{x^2-a^2}}

x=acosθ,dx=asinθcos2θdθ,x2a2=atanθx=\frac{a}{\cos\theta},\quad dx=\frac{a\sin\theta}{\cos^2\theta}\,d\theta,\quad \sqrt{x^2-a^2}=a|\tan\theta|

とすると

I=1cosθdθI =\int \frac{1}{\cos\theta}\,d\theta

区間は

x=aθ=0,x=2aθ=π3x=a\Rightarrow \theta=0,\qquad x=2a\Rightarrow \theta=\frac{\pi}{3}

なので

I=0π/31cosθdθ=0π/3cosθcos2θdθI=\int_0^{\pi/3}\frac{1}{\cos\theta}\,d\theta =\int_0^{\pi/3}\frac{\cos\theta}{\cos^2\theta}\,d\theta u=sinθ,du=cosθdθ,cos2θ=1u2u=\sin\theta,\quad du=\cos\theta\,d\theta,\quad \cos^2\theta=1-u^2 I=03/2du1u2=1203/2(11+u+11u)duI=\int_0^{\sqrt{3}/2}\frac{du}{1-u^2} =\frac{1}{2}\int_0^{\sqrt{3}/2}\left(\frac{1}{1+u}+\frac{1}{1-u}\right)du =12[log1+u1u]03/2=12log ⁣(2+323)=log(2+3)=\frac{1}{2}\left[\log\left|\frac{1+u}{1-u}\right|\right]_0^{\sqrt{3}/2} =\frac{1}{2}\log\!\left(\frac{2+\sqrt{3}}{2-\sqrt{3}}\right) =\log(2+\sqrt{3})

この型の本質は

1cos2θ1=tan2θ\frac{1}{\cos^2\theta}-1=\tan^2\theta

を使って、x2a2x^2-a^2a2tan2θa^2\tan^2\theta に変えることです。 実際は atanθa|\tan\theta| ですが、区間を選んで符号を固定すると整理しやすくなります。


3. 半角・倍角・積和で先に式を整理する

ここまでの2章は「根号を三角置換で処理する型」でした。 一方で実戦では、根号がなくても

  • 形がそのままだと積分しにくい
  • 公式変形すると一気に解きやすくなる

という問題が多く出ます。 この章では、先に典型変換を一覧化してから例題に入ります。

3.1 典型変換パターン一覧

A. 半角公式(分母に 1±cosx1\pm\cos x があるとき)

1+cosx=2cos2x2,1cosx=2sin2x21+\cos x=2\cos^2\frac{x}{2},\qquad 1-\cos x=2\sin^2\frac{x}{2}

使いどころ:

  • dx1+cosx\int \frac{dx}{1+\cos x}
  • dx1cosx\int \frac{dx}{1-\cos x}

B. 倍角公式(sinxcosx\sin x\cos x の積があるとき)

sinxcosx=12sin2x\sin x\cos x=\frac{1}{2}\sin 2x

使いどころ:

  • sinxcosxdx\int \sin x\cos x\,dx
  • xsinxcosxdx\int x\sin x\cos x\,dx(先に簡単化してから別手法)

C. 2乗降下公式(sin2,cos2\sin^2,\cos^2 があるとき)

sin2x=1cos2x2,cos2x=1+cos2x2\sin^2 x=\frac{1-\cos 2x}{2},\qquad \cos^2 x=\frac{1+\cos 2x}{2}

使いどころ:

  • sin2xdx\int \sin^2 x\,dx
  • cos2xdx\int \cos^2 x\,dx
  • sin2xcosxdx\int \sin^2 x\cos x\,dx(片側を簡単化)

D. 積和公式(周波数が違う積があるとき)

sinAcosB=12{sin(A+B)+sin(AB)}\sin A\cos B=\frac{1}{2}\{\sin(A+B)+\sin(A-B)\} cosAcosB=12{cos(A+B)+cos(AB)}\cos A\cos B=\frac{1}{2}\{\cos(A+B)+\cos(A-B)\} sinAsinB=12{cos(AB)cos(A+B)}\sin A\sin B=\frac{1}{2}\{\cos(A-B)-\cos(A+B)\}

使いどころ:

  • sin3xcosxdx\int \sin 3x\cos x\,dx
  • cos2xcosxdx\int \cos 2x\cos x\,dx

3.2 例題1:半角公式でそのまま積分する

dx1+cosx\int \frac{dx}{1+\cos x}

は、いきなり積分しにくいので

1+cosx=2cos2x21+\cos x=2\cos^2\frac{x}{2}

を使って

dx1+cosx=12dxcos2x2=12(1cosx2)2dx\int \frac{dx}{1+\cos x} =\frac{1}{2}\int \frac{dx}{\cos^2\frac{x}{2}} =\frac{1}{2}\int \left(\frac{1}{\cos\frac{x}{2}}\right)^2 dx

さらに

ddxtanx2=12(1cosx2)2\frac{d}{dx}\tan\frac{x}{2} =\frac{1}{2}\left(\frac{1}{\cos\frac{x}{2}}\right)^2

より

12(1cosx2)2dx=tanx2+C\frac{1}{2}\int \left(\frac{1}{\cos\frac{x}{2}}\right)^2 dx =\tan\frac{x}{2}+C

となります。

3.3 例題2:倍角公式でそのまま積分する

sinxcosxdx\int \sin x\cos x\,dx

sinxcosx=12sin2x\sin x\cos x=\frac{1}{2}\sin 2x

を使って

sinxcosxdx=12sin2xdx=14cos2x+C\int \sin x\cos x\,dx =\frac{1}{2}\int \sin 2x\,dx =-\frac{1}{4}\cos 2x + C

です。

3.4 例題3:積和公式で和の形に変換

sin3xcosxdx\int \sin 3x\cos x\,dx

に積和公式を使うと

sin3xcosx=12{sin4x+sin2x}\sin 3x\cos x =\frac{1}{2}\{\sin 4x+\sin 2x\}

なので

sin3xcosxdx=12(sin4x+sin2x)dx=18cos4x14cos2x+C\int \sin 3x\cos x\,dx =\frac{1}{2}\int (\sin 4x+\sin 2x)\,dx =-\frac{1}{8}\cos 4x-\frac{1}{4}\cos 2x + C

となります。

3.5 使い分けの実戦チェック

  1. 根号がある:2.1〜2.3 の三角置換を優先
  2. 根号がないが三角式が複雑:まずこの章の公式変形
  3. 変形後に内側と微分がそろうなら、通常の uu 置換へ接続

この順で判定すると、典型問題をかなり漏れなく処理できます。

ここまでで不定積分の基本ルートは揃います。 次の4章で、定積分の区間変換ミスを防ぎます。


4. 定積分での最重要ポイント(区間変換)

三角置換は、定積分だと区間変換ミスが最頻出です。

ここは計算力というより手順管理の章です。 「置換したらすぐ区間を変える」を徹底します。

例:

I=0a/2dxa2x2I=\int_0^{a/2}\frac{dx}{\sqrt{a^2-x^2}}

x=asinθx=a\sin\theta と置くと

  • x=0θ=0x=0\Rightarrow\theta=0
  • x=a2sinθ=12θ=π6x=\frac{a}{2}\Rightarrow\sin\theta=\frac{1}{2}\Rightarrow\theta=\frac{\pi}{6}

なので

I=0π/6dθ=π6I=\int_0^{\pi/6}d\theta=\frac{\pi}{6}

となります。

置換したらすぐ区間を書くを習慣にすると、定積分の失点が激減します。

補足:定積分では「戻し忘れ」より「区間変換漏れ」の方が多いです。 先に区間を書いてから式変形すると、変数混在の事故を防げます。


5. 発展①:t = tan(θ/2)(半角置換)

ここから先は発展です。 必要な章だけつまみ読みしても問題ありません。

三角関数の有理式

R(sinθ,cosθ)R(\sin\theta,\cos\theta)

には、半角置換が効きます。

ここでいう「有理式」とは、例えば次のように 分母・分子が sinθ,cosθ\sin\theta,\cos\theta の多項式になっている式のことです。

  • 11+cosθ\frac{1}{1+\cos\theta}
  • sinθ1+cosθ\frac{\sin\theta}{1+\cos\theta}
  • 1+sinθ2cosθ\frac{1+\sin\theta}{2-\cos\theta}

このタイプは、sinθ,cosθ\sin\theta,\cos\theta が混ざっているため、通常の uu 置換だと一発では整理しにくいことが多いです。 半角置換を使うと、全部 tt だけの分数(有理式)になるので計算しやすくなります。

t=tanθ2t=\tan\frac{\theta}{2}

とおくと

sinθ=2t1+t2,cosθ=1t21+t2,dθ=21+t2dt\sin\theta=\frac{2t}{1+t^2},\quad \cos\theta=\frac{1-t^2}{1+t^2},\quad d\theta=\frac{2}{1+t^2}dt

となり、積分が tt の有理式に落ちます。

例:

dθ1+cosθ\int \frac{d\theta}{1+\cos\theta}

1+cosθ=21+t2,dθ=21+t2dt1+\cos\theta=\frac{2}{1+t^2},\quad d\theta=\frac{2}{1+t^2}dt

なので

dθ1+cosθ=dt=t+C=tanθ2+C\int \frac{d\theta}{1+\cos\theta}=\int dt=t+C=\tan\frac{\theta}{2}+C

です。

もう1問だけ見ます。

sinθ1+cosθdθ\int \frac{\sin\theta}{1+\cos\theta}\,d\theta

半角置換で

sinθ=2t1+t2,cosθ=1t21+t2,dθ=21+t2dt\sin\theta=\frac{2t}{1+t^2},\quad \cos\theta=\frac{1-t^2}{1+t^2},\quad d\theta=\frac{2}{1+t^2}dt

を入れると

1+cosθ=1+1t21+t2=21+t21+\cos\theta=1+\frac{1-t^2}{1+t^2}=\frac{2}{1+t^2}

なので

sinθ1+cosθdθ=2t1+t221+t221+t2dt=2t1+t2dt\frac{\sin\theta}{1+\cos\theta}\,d\theta =\frac{\frac{2t}{1+t^2}}{\frac{2}{1+t^2}}\cdot\frac{2}{1+t^2}dt =\frac{2t}{1+t^2}dt

したがって

sinθ1+cosθdθ=2t1+t2dt=log(1+t2)+C\int \frac{\sin\theta}{1+\cos\theta}\,d\theta =\int \frac{2t}{1+t^2}\,dt =\log(1+t^2)+C

最後に t=tanθ2t=\tan\frac{\theta}{2} を戻して

sinθ1+cosθdθ=log ⁣(1+tan2θ2)+C\int \frac{\sin\theta}{1+\cos\theta}\,d\theta =\log\!\left(1+\tan^2\frac{\theta}{2}\right)+C

となります(log ⁣1cos2(θ/2)+C\log\!\left|\dfrac{1}{\cos^2(\theta/2)}\right|+C と同値)。

使いどころは、R(sinθ,cosθ)R(\sin\theta,\cos\theta) のような「三角関数の有理式」です。 通常の置換で内側と微分がそろわないとき、半角置換は強い選択肢になります。


6. 発展②:二次式の分母を判別式 D で完全攻略

この章で扱うのは、次の形です。

dxx2+bx+c\int \frac{dx}{x^2+bx+c}

三角積分の途中や、置換後によく現れます。 この形は判別式

D=b24cD=b^2-4c

の符号で解き方が決まります。最初に対応をまとめると次の通りです。

  • D < 0:平方完成して u2+a2u^2+a^2 型にする
  • D = 0(xr)2(x-r)^2 型として処理する
  • D > 0:因数分解して部分分数分解する

ここでは逆三角関数の記号を使わず、定積分の代表例で確認します。

6.1 D < 0:平方完成して三角置換

例:

I=10dxx2+2x+2I_-=\int_{-1}^{0}\frac{dx}{x^2+2x+2}

このとき

D=2242=4<0D=2^2-4\cdot 2=-4<0

なので平方完成します。

x2+2x+2=(x+1)2+1x^2+2x+2=(x+1)^2+1

ここで

u=x+1u=x+1

とおくと区間は x:10x:-1\to0 から u:01u:0\to1 へ変わり

I=01duu2+1I_-=\int_0^1\frac{du}{u^2+1}

さらに

u=tanθ,du=1cos2θdθ,1+u2=1cos2θu=\tan\theta,\quad du=\frac{1}{\cos^2\theta}d\theta,\quad 1+u^2=\frac{1}{\cos^2\theta}

より

I=0π/4dθ=π4I_-=\int_0^{\pi/4} d\theta=\frac{\pi}{4}

となります。

6.2 D = 0:重解なので二乗分母

例:

I0=01dxx2+2x+1=01dx(x+1)2I_0=\int_0^1\frac{dx}{x^2+2x+1} =\int_0^1\frac{dx}{(x+1)^2}

なので

I0=[1x+1]01=12I_0=\left[-\frac{1}{x+1}\right]_0^1=\frac{1}{2}

です。

6.3 D > 0:因数分解して部分分数分解

例:

I+=01/2dxx23x+2I_+=\int_0^{1/2}\frac{dx}{x^2-3x+2}

このとき

D=(3)242=1>0D=(-3)^2-4\cdot 2=1>0

なので

x23x+2=(x1)(x2)x^2-3x+2=(x-1)(x-2)

と因数分解でき、

1(x1)(x2)=1x1+1x2\frac{1}{(x-1)(x-2)}=-\frac{1}{x-1}+\frac{1}{x-2}

より

I+=01/2(1x1+1x2)dxI_+=\int_0^{1/2}\left(-\frac{1}{x-1}+\frac{1}{x-2}\right)dx =[logx1+logx2]01/2=log32=\left[-\log|x-1|+\log|x-2|\right]_0^{1/2} =\log\frac{3}{2}

となります。


まとめると

  • D<0:平方完成(必要なら三角置換)
  • D=0:二乗分母
  • D>0:因数分解 + 部分分数分解

の3パターンで、∫ dx/(x^2+bx+c) はすべて処理できます。


7. 図形的に理解すると戻しで迷わない

三角置換の戻しで止まる人は、直角三角形で対応を作ると楽になります。

7.1 x = a tanθ の場合

tanθ=xa\tan\theta=\frac{x}{a}

なので、

  • 対辺:xx
  • 隣辺:aa
  • 斜辺:x2+a2\sqrt{x^2+a^2}

と取れば

1cosθ=x2+a2a\frac{1}{\cos\theta}=\frac{\sqrt{x^2+a^2}}{a}

が一発で読めます。

7.2 x = a/cosθ の場合

1cosθ=xa\frac{1}{\cos\theta}=\frac{x}{a}

なので

  • 斜辺:xx
  • 隣辺:aa
  • 対辺:x2a2\sqrt{x^2-a^2}

として

tanθ=x2a2a\tan\theta=\frac{\sqrt{x^2-a^2}}{a}

を戻せます。

図形化すると、式変形だけで追うより符号ミスを防ぎやすくなります。


8. 発展③:sin^m x cos^n x の奇偶判定

三角積分で最も頻出なのが、この奇偶判定です。 先に指数の偶奇を見るだけで、使う手法がほぼ決まります。

  • sin\sin の指数が奇数:sinx\sin x を1つ残して、残りを cosx\cos x で表す
  • cos\cos の指数が奇数:cosx\cos x を1つ残して、残りを sinx\sin x で表す
  • 両方偶数:半角公式(3章)へ

例1:sin の指数が奇数

sin3xcosxdx\int \sin^3 x\cos x\,dx

u=sinx,du=cosxdxu=\sin x,\quad du=\cos x\,dx

sin3xcosxdx=u3du=14sin4x+C\int \sin^3 x\cos x\,dx=\int u^3\,du=\frac{1}{4}\sin^4 x+C

例2:両方偶数

sin2xcos2xdx\int \sin^2 x\cos^2 x\,dx

sinxcosx=12sin2x\sin x\cos x=\frac{1}{2}\sin 2x

より

sin2xcos2x=14sin22x=18(1cos4x)\sin^2 x\cos^2 x=\frac{1}{4}\sin^2 2x =\frac{1}{8}(1-\cos 4x)

として積分できます。 このケースは「置換」より「公式変形」が主役です。


9. 発展④:部分積分との併用(多項式 × 三角関数)

次のような問題では、置換だけでは進みにくく、部分積分が必要です。

xsinxdx,x2cosxdx\int x\sin x\,dx,\quad \int x^2\cos x\,dx

9.1 基本例:x sin x 型

xsinxdx=x(cosx)1(cosx)dx\int x\sin x\,dx =x(-\cos x)-\int 1\cdot(-\cos x)\,dx =xcosx+sinx+C=-x\cos x+\sin x+C

9.2 どこで併用するか

  • 先に三角公式で簡単化できるなら簡単化する
  • その後に「多項式 × 三角関数」が残るなら部分積分

つまり実戦では 公式変形 -> 置換 or 部分積分 の順で判断すると安定します。


10. 実戦で崩れやすいミス8選

最後の確認用チェックリストです。 本番前にここだけ見直しても効果があります。

  1. 置換後の dxdx を変換し忘れる 対策:置換した直後に「dx=dx=\cdots」を1行で書く
  2. 根号の符号条件を無視する 例:1sin2θ=cosθ\sqrt{1-\sin^2\theta}=|\cos\theta| をそのまま cosθ\cos\theta にしてしまう 対策:θ\theta の範囲を先に決める
  3. 定積分で区間変換をしない 対策:置換の直後に上下限を書き換える
  4. 1cosθ,tanθ\frac{1}{\cos\theta},\tan\thetaxx に戻す途中で対応を取り違える 対策:直角三角形を1回描いてから戻す
  5. 半角・倍角・積和の公式を混同する 対策:使う公式を先に1つだけ書いてから式変形する
  6. 公式変形と置換の順番が逆になる 対策:「先に形を整える -> その後で置換」を徹底する
  7. D の場合分けをせずに二次式分母へ突っ込む 対策:dxx2+bx+c\int \frac{dx}{x^2+bx+c} が出たら、まず D=b^2-4c を計算する
  8. 途中で「どの章の手法か」を見失う 対策:解く前に「2章型 / 3章型 / 6章型」を1つ宣言する

チェックリスト化しておくと、本番で崩れにくくなります。


11. 例題演習

次の問題は、この記事の内容に対応しています。 まず自分で解いてから、解答を開いて確認してください。

問題1

01/2dx1x2\int_0^{1/2}\frac{dx}{\sqrt{1-x^2}}
解答・解説を見る

対応章:2章(ルート(a^2 - x^2)型)

x=sinθ,dx=cosθdθ,1x2=cosθx=\sin\theta,\quad dx=\cos\theta\,d\theta,\quad \sqrt{1-x^2}=\cos\theta

区間変換:

x=0θ=0,x=12θ=π6x=0\Rightarrow\theta=0,\qquad x=\frac12\Rightarrow\theta=\frac{\pi}{6}

したがって

01/2dx1x2=0π/6dθ=π6\int_0^{1/2}\frac{dx}{\sqrt{1-x^2}} =\int_0^{\pi/6}d\theta =\frac{\pi}{6}

問題2

dx1cosx\int \frac{dx}{1-\cos x}
解答・解説を見る

対応章:3章(半角公式)

1cosx=2sin2x21-\cos x=2\sin^2\frac{x}{2}

なので

dx1cosx=12dxsin2x2\int \frac{dx}{1-\cos x} =\frac12\int \frac{dx}{\sin^2\frac{x}{2}} ddxcotx2=12csc2x2\frac{d}{dx}\cot\frac{x}{2} =-\frac12\csc^2\frac{x}{2}

を使って

dx1cosx=cotx2+C\int \frac{dx}{1-\cos x} =-\cot\frac{x}{2}+C

問題3

01/3dxx25x+6\int_0^{1/3}\frac{dx}{x^2-5x+6}
解答・解説を見る

対応章:6章(D > 0)

D=(5)246=1>0D=(-5)^2-4\cdot 6=1>0

なので

x25x+6=(x2)(x3)x^2-5x+6=(x-2)(x-3) 1(x2)(x3)=1x2+1x3\frac{1}{(x-2)(x-3)}=-\frac{1}{x-2}+\frac{1}{x-3}

より

01/3dxx25x+6=[logx2+logx3]01/3=log87\int_0^{1/3}\frac{dx}{x^2-5x+6} =\left[-\log|x-2|+\log|x-3|\right]_0^{1/3} =\log\frac{8}{7}

問題4

sin5xcosxdx\int \sin^5 x\cos x\,dx
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対応章:8章(奇偶判定)

u=sinx,du=cosxdxu=\sin x,\quad du=\cos x\,dx

なので

sin5xcosxdx=u5du=u66+C=sin6x6+C\int \sin^5 x\cos x\,dx =\int u^5\,du =\frac{u^6}{6}+C =\frac{\sin^6 x}{6}+C

問題5

xcosxdx\int x\cos x\,dx
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対応章:9章(部分積分併用)

部分積分:

f(x)=x,g(x)=cosx,f(x)=1,g(x)=sinxf(x)=x,\quad g'(x)=\cos x,\quad f'(x)=1,\quad g(x)=\sin x xcosxdx=xsinxsinxdx=xsinx+cosx+C\int x\cos x\,dx =x\sin x-\int \sin x\,dx =x\sin x+\cos x + C

まとめ

最後に、実戦での流れを1本にまとめます。

  1. 先に型を判定する(根号の型か、公式変形型か)
  2. 根号型なら三角置換、非根号型なら半角・倍角・積和を先に使う
  3. 定積分では区間を先に変換する
  4. 戻しで迷ったら図形を使う
  5. 多項式が残ったら部分積分との併用を考える

この順番で解けば、三角関数が絡む積分の典型問題はかなり安定して解けます。

まずは1パターンずつ、手を動かして型を固定してみてください。

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