置換積分の解き方【公式・例題付き】典型問題と定積分でミスしないコツを解説

解法

置換積分が苦手になる原因は、計算より先に、 「この問題は置換でいくべきか」の判断で迷うことです。

先に結論です。見る場所は1つです。 カッコの中身(内側)と、その微分が近くにあるかを見てください。

この記事は、次の順で進めます。

  1. 置換積分の基本ルール
  2. 典型問題2題
  3. 定積分でのミス回避
  4. よくあるミス
  5. 三角関数が絡む置換の入口

1. まずはこれだけ:内側を1文字に置く

基本形は次です。

f(g(x))g(x)dx\int f(g(x))g'(x)\,dx

ここで

u=g(x)u=g(x)

と置いて、両辺を xx で微分すると

dudx=g(x)\frac{du}{dx}=g'(x)

なので

du=g(x)dxdu=g'(x)\,dx

が得られます。これで

f(g(x))g(x)dx=f(u)du\int f(g(x))g'(x)\,dx=\int f(u)\,du

に変換できます。

手順は3つだけです。

  1. 内側を uu に置く
  2. 微分して dudu を作る
  3. uu の積分として解く

なぜこれで解けるかというと、複雑さの原因が「合成(入れ子)」だからです。 f(g(x))f(g(x)) は「外側 ff」と「内側 gg」の二重構造ですが、u=g(x)u=g(x) と置くと

f(g(x))f(u)f(g(x)) \to f(u)

になり、外側だけを見ればよくなります。 さらに du=g(x)dxdu=g'(x)\,dx で微分側もまとめられるため、1変数の標準積分に戻せます。

使いどころ(基礎パターン)

  • 指数・対数・三角関数の「中に式」が入っている 例:ex2, log(1+x2), sin(3x+1)e^{x^2},\ \log(1+x^2),\ \sin(3x+1)
  • 分母に「内側」があり、分子にその微分がある 例:2x1+x2, 11+3x\frac{2x}{1+x^2},\ \frac{1}{1+3x}(定数調整あり)

3秒チェック

次のどちらかが見えたら、置換積分を優先します。

  • 合成関数がある(例:sin(x2), e3x+1, log(1+x2)\sin(x^2),\ e^{3x+1},\ \log(1+x^2)
  • 内側の微分が近くにある(定数倍でも可)

2. 実践演習①:そのまま置ける形

2xcos(x2)dx\int 2x\cos(x^2)\,dx

内側は x2x^2、その微分は 2x2x です。

u=x2dudx=2xdu=2xdxu=x^2 \Rightarrow \frac{du}{dx}=2x \Rightarrow du=2x\,dx

したがって

2xcos(x2)dx=cosudu=sinu+C=sin(x2)+C\int 2x\cos(x^2)\,dx =\int \cos u\,du =\sin u + C =\sin(x^2)+C

で終わりです。

この問題が置換で解ける理由は、 **「内側 x2x^2 の微分 2x2x が、積分式にそのまま存在する」**からです。 つまり

内側 x2外側に 2xdx\text{内側 }x^2 \quad \leftrightarrow \quad \text{外側に }2x\,dx

の対応が完成しています。 この形は、置換積分の中で最も素直なパターンです。


3. 実践演習②:定数調整が必要な形

11+3xdx\int \frac{1}{1+3x}\,dx

内側は 1+3x1+3x で、その微分は 33 です。

u=1+3xdudx=3du=3dxu=1+3x \Rightarrow \frac{du}{dx}=3 \Rightarrow du=3\,dx

よって

dx=13dudx=\frac{1}{3}du

となり

11+3xdx=1u13du=13logu+C=13log1+3x+C\int \frac{1}{1+3x}\,dx =\int \frac{1}{u}\cdot\frac{1}{3}\,du =\frac{1}{3}\log|u|+C =\frac{1}{3}\log|1+3x|+C

となります。

ポイントはこれだけです。 微分が一致しないときは、先に定数を合わせる。

なぜ定数調整が必要かというと、dudu

du=3dxdu=3\,dx

の形で決まっており、dxdx をそのまま dudu に置き換えることができないからです。 この「係数合わせ」を最初にやると、以降の式変形が一気に安定します。


4. 定積分での鉄則

定積分では、次のどちらかに固定してください。

  1. 置換後の区間も uu に変えて、最後まで uu で計算する
  2. 原始関数を出したら xx に戻してから代入する

混ぜるとミスになります。

4.1 区間も変える方法

012xex2dx\int_0^1 2x e^{x^2}\,dx

u=x2, du=2xdxu=x^2,\ du=2x\,dx と置くと

  • x=0u=0x=0 \Rightarrow u=0
  • x=1u=1x=1 \Rightarrow u=1

だから

012xex2dx=01eudu=[eu]01=e1\int_0^1 2x e^{x^2}\,dx =\int_0^1 e^u\,du =\left[e^u\right]_0^1 =e-1

4.2 戻して代入する方法

同じ問題で

012xex2dx=eudu=eu=ex2\int_0^1 2x e^{x^2}\,dx =\int e^u\,du =e^u =e^{x^2}

と戻してから

[ex2]01=e1\left[e^{x^2}\right]_0^1=e-1

と代入してもOKです。

4.3 よくあるNG

  • uu に置換したのに、区間は xx のまま使う
  • 原始関数が uu のままなのに、xx の上下限を入れる

5. 置換積分で多いミス3選

ミス1:dudu を感覚で書く

NG:

u=x2,du=xdxu=x^2,\quad du=x\,dx

OK:

u=x2dudx=2xdu=2xdxu=x^2 \Rightarrow \frac{du}{dx}=2x \Rightarrow du=2x\,dx

ミス2:定数調整を飛ばす

xcos(x2)dx\int x\cos(x^2)\,dx

u=x2u=x^2 なら du=2xdxdu=2x\,dx なので

xdx=12dux\,dx=\frac{1}{2}du

と直してから積分します。

ミス3:変数と区間を対応させない

022xex2dx\int_0^2 2x e^{x^2}\,dx

u=x2u=x^2 と置いたら、区間は 040\to4 です。

022xex2dx=04eudu\int_0^2 2x e^{x^2}\,dx=\int_0^4 e^u\,du

のように必ず対応させてください。


6. 三角関数が絡む置換積分

三角関数が出るときは、次の2種類に分かれます。

  1. 通常の uu 置換で解ける
  2. 三角置換が必要

6.1 通常の置換で解ける例

sin(3x)dx\int \sin(3x)\,dx u=3xdu=3dxdx=13duu=3x \Rightarrow du=3\,dx \Rightarrow dx=\frac{1}{3}du

より

sin(3x)dx=13sinudu=13cos(3x)+C\int \sin(3x)\,dx =\frac{1}{3}\int \sin u\,du =-\frac{1}{3}\cos(3x)+C

6.2 三角置換が必要な例

dx1x2\int \frac{dx}{\sqrt{1-x^2}}

この形は u=1x2u=1-x^2 では進みにくいので

x=sinθx=\sin\theta

と置きます。すると

dx=cosθdθ,1x2=cosθdx=\cos\theta\,d\theta,\quad \sqrt{1-x^2}=\cos\theta

なので

dx1x2=cosθdθcosθ=θ+C\int \frac{dx}{\sqrt{1-x^2}} =\int \frac{\cos\theta\,d\theta}{\cos\theta} =\theta+C

最後に θ=arcsinx\theta=\arcsin x を戻して

dx1x2=arcsinx+C\int \frac{dx}{\sqrt{1-x^2}}=\arcsin x + C

となります。

注:

  • arcsinx\arcsin xsin\sin の逆関数です。
  • 1sin2θ=cosθ\sqrt{1-\sin^2\theta}=\cos\theta と置くときは、cosθ0\cos\theta\ge0 の範囲を取ります。
  • 1x2\sqrt{1-x^2} では、状況により x=sinθx=\sin\theta だけでなく x=cosθx=\cos\theta も使えます。

6.3 三角置換の早見表

  • 1x2\sqrt{1-x^2}x=sinθx=\sin\theta(または x=cosθx=\cos\theta
  • a2x2\sqrt{a^2-x^2}x=asinθx=a\sin\theta
  • x2+a2\sqrt{x^2+a^2}x=atanθx=a\tan\theta
  • x2a2\sqrt{x^2-a^2}x=acosθx=\frac{a}{\cos\theta}=asecθ=a\sec\theta

ここで三角置換が効く理由は、 1sin2θ=cos2θ, 1+tan2θ=1cos2θ1-\sin^2\theta=\cos^2\theta,\ 1+\tan^2\theta=\frac{1}{\cos^2\theta} のように、 根号の中を三角恒等式で「2乗」に変えられるからです。 根号が外れると、積分が通常の三角関数の積分に落ちます。

詳しくはこちら:三角関数の積分テクニック総まとめ


7. 「読んだ」を「解ける」に変える練習法

理解した直後に3〜5問解くと、判断が定着します。

  1. 『積分みくじ』で置換積分の問題を引く
  2. 各問題で「内側」「微分」「定数調整」をメモする
  3. 『StudyRecord』で10分だけ記録する

長く1回やるより、短く毎日触れる方が伸びます。

置換積分は「ひらめき」より「型」です。 まずは1問、内側と微分のセットを探す練習から始めてみてください。

高橋 アイコン 高橋