置換積分が苦手になる原因は、計算より先に、
「この問題は置換でいくべきか」の判断で迷うことです。
先に結論です。見る場所は1つです。
カッコの中身(内側)と、その微分が近くにあるかを見てください。
この記事は、次の順で進めます。
- 置換積分の基本ルール
- 典型問題2題
- 定積分でのミス回避
- よくあるミス
- 三角関数が絡む置換の入口
1. まずはこれだけ:内側を1文字に置く
基本形は次です。
∫f(g(x))g′(x)dx
ここで
u=g(x)
と置いて、両辺を x で微分すると
dxdu=g′(x)
なので
du=g′(x)dx
が得られます。これで
∫f(g(x))g′(x)dx=∫f(u)du
に変換できます。
手順は3つだけです。
- 内側を u に置く
- 微分して du を作る
- u の積分として解く
なぜこれで解けるかというと、複雑さの原因が「合成(入れ子)」だからです。
f(g(x)) は「外側 f」と「内側 g」の二重構造ですが、u=g(x) と置くと
f(g(x))→f(u)
になり、外側だけを見ればよくなります。
さらに du=g′(x)dx で微分側もまとめられるため、1変数の標準積分に戻せます。
使いどころ(基礎パターン)
- 指数・対数・三角関数の「中に式」が入っている
例:ex2, log(1+x2), sin(3x+1)
- 分母に「内側」があり、分子にその微分がある
例:1+x22x, 1+3x1(定数調整あり)
3秒チェック
次のどちらかが見えたら、置換積分を優先します。
- 合成関数がある(例:sin(x2), e3x+1, log(1+x2))
- 内側の微分が近くにある(定数倍でも可)
2. 実践演習①:そのまま置ける形
∫2xcos(x2)dx
内側は x2、その微分は 2x です。
u=x2⇒dxdu=2x⇒du=2xdx
したがって
∫2xcos(x2)dx=∫cosudu=sinu+C=sin(x2)+C
で終わりです。
この問題が置換で解ける理由は、
**「内側 x2 の微分 2x が、積分式にそのまま存在する」**からです。
つまり
内側 x2↔外側に 2xdx
の対応が完成しています。
この形は、置換積分の中で最も素直なパターンです。
3. 実践演習②:定数調整が必要な形
∫1+3x1dx
内側は 1+3x で、その微分は 3 です。
u=1+3x⇒dxdu=3⇒du=3dx
よって
dx=31du
となり
∫1+3x1dx=∫u1⋅31du=31log∣u∣+C=31log∣1+3x∣+C
となります。
ポイントはこれだけです。
微分が一致しないときは、先に定数を合わせる。
なぜ定数調整が必要かというと、du は
du=3dx
の形で決まっており、dx をそのまま du に置き換えることができないからです。
この「係数合わせ」を最初にやると、以降の式変形が一気に安定します。
4. 定積分での鉄則
定積分では、次のどちらかに固定してください。
- 置換後の区間も u に変えて、最後まで u で計算する
- 原始関数を出したら x に戻してから代入する
混ぜるとミスになります。
4.1 区間も変える方法
∫012xex2dx
で u=x2, du=2xdx と置くと
- x=0⇒u=0
- x=1⇒u=1
だから
∫012xex2dx=∫01eudu=[eu]01=e−1
4.2 戻して代入する方法
同じ問題で
∫012xex2dx=∫eudu=eu=ex2
と戻してから
[ex2]01=e−1
と代入してもOKです。
4.3 よくあるNG
- u に置換したのに、区間は x のまま使う
- 原始関数が u のままなのに、x の上下限を入れる
5. 置換積分で多いミス3選
ミス1:du を感覚で書く
NG:
u=x2,du=xdx
OK:
u=x2⇒dxdu=2x⇒du=2xdx
ミス2:定数調整を飛ばす
∫xcos(x2)dx
で u=x2 なら du=2xdx なので
xdx=21du
と直してから積分します。
ミス3:変数と区間を対応させない
∫022xex2dx
を u=x2 と置いたら、区間は 0→4 です。
∫022xex2dx=∫04eudu
のように必ず対応させてください。
6. 三角関数が絡む置換積分
三角関数が出るときは、次の2種類に分かれます。
- 通常の u 置換で解ける
- 三角置換が必要
6.1 通常の置換で解ける例
∫sin(3x)dx
u=3x⇒du=3dx⇒dx=31du
より
∫sin(3x)dx=31∫sinudu=−31cos(3x)+C
6.2 三角置換が必要な例
∫1−x2dx
この形は u=1−x2 では進みにくいので
x=sinθ
と置きます。すると
dx=cosθdθ,1−x2=cosθ
なので
∫1−x2dx=∫cosθcosθdθ=θ+C
最後に θ=arcsinx を戻して
∫1−x2dx=arcsinx+C
となります。
注:
- arcsinx は sin の逆関数です。
- 1−sin2θ=cosθ と置くときは、cosθ≥0 の範囲を取ります。
- 1−x2 では、状況により x=sinθ だけでなく x=cosθ も使えます。
6.3 三角置換の早見表
- 1−x2:x=sinθ(または x=cosθ)
- a2−x2:x=asinθ
- x2+a2:x=atanθ
- x2−a2:x=cosθa(=asecθ)
ここで三角置換が効く理由は、
1−sin2θ=cos2θ, 1+tan2θ=cos2θ1 のように、
根号の中を三角恒等式で「2乗」に変えられるからです。
根号が外れると、積分が通常の三角関数の積分に落ちます。
詳しくはこちら:三角関数の積分テクニック総まとめ
7. 「読んだ」を「解ける」に変える練習法
理解した直後に3〜5問解くと、判断が定着します。
- 『積分みくじ』で置換積分の問題を引く
- 各問題で「内側」「微分」「定数調整」をメモする
- 『StudyRecord』で10分だけ記録する
長く1回やるより、短く毎日触れる方が伸びます。
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置換積分は「ひらめき」より「型」です。
まずは1問、内側と微分のセットを探す練習から始めてみてください。