なぜ二次関数は放物線になるのか?
「二次関数のグラフは放物線」と習います。 けれど、なぜあの形になるのかは、意外と説明されません。 この記事では、二次関数がどうしてあのような形になるのか、そもそも放物線とは何かについて考えていきます。
1. 二次関数はなぜ曲がるのか
二次関数
を考えます。
いちばん単純な例として
を見てみましょう。
| x | y | 増加量 |
|---|---|---|
| 0 | 0 | - |
| 1 | 1 | +1 |
| 2 | 4 | +3 |
| 3 | 9 | +5 |
| 4 | 16 | +7 |
増加量は
と増えていきます。
一次関数では、増え方はずっと一定です。 だから直線になります。
しかし二次関数では、
- 増え方は一定ではない
- しかし増え方の増え方は一定
という特徴があります。
この「増え方が規則正しく変化する」という構造が、 直線ではなく、なめらかに曲がる形を生み出します。
さらに は
- と で同じ値になる
という性質を持っています。 そのため、グラフは左右対称になります。
左右対称で、中央に最小値(または最大値)がある曲線。
それが、放物線です。
2. 放物線とは何か (幾何学的視点)
ここで視点を変えてみましょう。
放物線はもともと「関数」ではなく、 幾何学の図形として定義されています。
定義はこうです。
ある一点(焦点)と ある直線(準線)からの距離が等しい点の集合。
これが放物線の本来の姿です。
では、この定義から本当に二次式が現れるのでしょうか。
焦点を 、準線を とします。 放物線上の点を とすると、
焦点からの距離は
準線からの距離は
です。
定義よりこれらは等しいので
両辺を2乗して整理すると
したがって
となります。
つまり、
放物線という図形の定義そのものが、 自然に二次式を生み出す。
ここで初めて、
放物線が二次関数で表される理由
がはっきり見えてきます。
3. 放物線の名前の由来(物理の視点)
しかし、「放物線」という名前の由来を考えると、 その名の通り、ものを放ったときの軌道です。
ここでは高校1年生で学ぶ物理だけを使って、 投げた物体の軌道が二次関数になることを示します。 (空気抵抗は無視し、重力加速度は一定 とします。)
3.1 運動方程式を立てる
質量 の物体を投げます。
座標を
- 軸:水平方向
- 軸:鉛直上向き
とします。
物体に働く力は重力のみなので、
ニュートンの運動方程式
より、
と分かります。
つまり、
- 水平方向には加速度がない
- 鉛直方向には一定の加速度 がある
ということです。
3.2 水平方向の運動(等速直線運動)
水平方向では加速度が 0 なので、等速直線運動です。
等速直線運動の公式より、
投げ出し点を とすれば、
となります。
3.3 鉛直方向の運動(等加速度直線運動)
鉛直方向では加速度が一定 なので、 等加速度直線運動になります。
等加速度運動の公式
に を代入すると、
3.4 時間 を消去する
軌道の形を知るために、時間 を消去します。
水平方向の式
より( として)
これを鉛直方向の式に代入すると、
整理すると、
3.5 結論
得られた式は
という 二次関数の形 になっています。
つまり、
- 重力が一定
- 加速度が一定
- その結果、位置が時間の二次式になる
- 時間を消去すると、軌道は の二次式になる
したがって、
投げた物体の軌道は放物線になる。
これが、「放物線」という名前の物理的な意味です。
まとめ
二次関数が放物線になる理由を、
- 変化のしかた
- 幾何学的な定義
- 投げた物体の運動
という三つの視点から見てきました。
どの立場から出発しても、 最終的には同じ二次式にたどり着きます。
二次関数は、ただ教科書で決められた形なのではなく、 図形や自然現象と深く結びついています。
そう考えると、「放物線」という名前も 少し違って見えてくるかもしれません。